前回、「報告・連絡・相談」についてお話をしました。今回は「年代や世代を超えて話し合うためのコツ」についてお話します。
年代や世代を超えてと言うワードは、確かにコミュニケーションをより難しくする要素になると考えますが、では年代や世代が同じであれば難しさはないと言えるでしょうか。十人十色という諺もあるように人の考えは色々ですから、お客様あるいは社内の大先輩という条件をお持ちであっても、いつもどなたに対してもしっかり向き合うことが必要です。そこをふまえて本日のテーマのお話を進めてまいります。
相手とのコミュニケーションの一歩目の前に意識なさっていただきたいことがあります。まず当たり前すぎることですが、毎朝明るく元気な挨拶を自分から先にできる人であってください。何より自分が気持ちよく一日を始められますし、おまけとしてあの人はいつも明るい挨拶ができる感じの良い人とプラス印象を持たれます(このような前提条件は、コミュニケーションを取るうえで思った以上の効果があります)。
ではコミュニケーション一歩目に進みます。「相手に関心を持って、『知ろう』とする」ことから始まります。関心を持てると、相手が話していることを注意深く聴くことに繋がります。いわゆる「傾聴」ですが、その中でもし理解できないことがあれば質問しようという気持ちが湧きます。質問にはオープンクエッションとクローズドクエッションがあります。前者は理由や内容を正確にしっかり知りたいときに使い、後者は確認をしたいときに使えます。
例えば、「只今お話いただいたAについてもう一度aのところを詳しくお聞かせくださいますか?」が前者の質問にあたり、「只今の内容を私は○○と理解いたしましたが、それでよろしいでしょうか」が後者の質問です。前者は言葉を尽くしての説明が答となり、後者は「はい」や「いいえ」が答えになります。この時あなたは伺ったことの否定は決してなさらずに「受け止めて」ください。大変重要なポイントです。どのような相手に対してもあなたが対応なさることは以上のことです。これによりあなたは相手との人間関係を構築することが出来ます。
ここまでの過程を経たところで、両者の間のコミュニケーションが行き来できるスタートラインに初めて立てたと言えます。この過程を「よく聴く・よく訊く」というシャベルで二人の間を隔てていた地面を「地ならし」すると、『同じ方向を見て進むスピード』が速くなります。
次に、あなたが逆の立場のとき=訊かれる側と想定してお話します(この「訊く」は、分からないことを知りたいときに質問をするという意味です)。訊かれることに、オールラウンドの対応をすでに準備できているとあなたは慌てることがありません。人は苦手な分野、得意な分野があると思うのでコミュニケーションとしての話材は出来るだけオールラウンドに準備しておきましょう。私はコミュニケーション研修の中で「アプローチ話法」を資料の一部として使用しています。
話材の内容は、「キシニアシタチカケテ衣食住」です。意味が分かるような分からないような文ですが、これは話材の項目の単語の頭の文字をつなげたものです。
1.「キ」…「気候」
2.「シ」…「仕事」
3.「ニ」…「ニュース」最新のものが一番。
4.「ア」…「愛情」人間や動物の赤ちゃんの
可愛らしさ。
5.「シ」…「趣味」読書だけでは分かりにくいので、ジャンルなどにも触れるのが親切。
6.「タ」…「旅」実際現地に行くだけでなく雑誌で見たものでも、テレビで見た場所でもよい。
7.「チ」…「知人」
8.「カ」…「家族」
9.「ケ」…「健康」健康に繋がるなら運動・
食事・睡眠などOK
10.「テ」…「テレビ」
11.「衣」…「衣類」
12.「食」…「食事」
13.「住」…「住んでいる所」
全部で13項目ありますが、あなたがおよそ3分話せる項目は何項目位あるでしょうか?もし半分以下でしたら少なすぎるので、「地ならし」に使える項目を直ちに増やしてください。相手は十人十色の可能性が大いにありますから、内容のランクを変えた話を3種類位言える準備をしておくとよいです。これは年代や世代差を超えた対応にも十分活躍してくれます。相手が「そんなことも知っている!」と驚くくらいのレベルもどんどん取りいれましょう。例えば、「1.」でレベル①・レベル②・レベル③のセンテンスを準備しておきます。そしてどのセンテンスでコミュニケ―ションを取るのが一番効果的か考えて選択します。
1.①「朝から穏やかに晴れていて、気持ちがいいですね!」(①・②・③の中で一番オーソドックス。誰もが共感しやすい言葉を使っている。)
②「朝から穏やかなお天気で気持ちがいいですが、午後には雨が少し降るみたいですよ。○○さん、雨具はお持ちですか?」
(相手の未来の時間に関心を広げて、雨に濡れないよう心配している気持ちを伝えられる)
③「先ほど窓から空を見ていたら、今日はまだ昼の月が見えていますね。つい最近私は知ったのですが、月って太陽に向いている側は110度位で、その裏側はマイナス170度位らしいです。そんなに暑くてそんなに寒い理由は、月には大気がほとんどないからだそうです。この年になるまで恥ずかしながら知りませんでした」(素直に知らなかったことも表現することで好感を抱いてもらいやすい。ややマニアックな情報だが、話材の選択に成功すると急速に互いの距離が近づく。ゆえに③を選択する時は慎重に)。
それぞれの項目にレベルの異なるセンテンスを3種類考えて1セットとし、できれば「お天気がいいですね」以外のバージョンで「気候」のもう1セットを準備しておくとよいのではないでしょうか。さらに決め事として毎年センテンスは作り変えるとしておくと、自らの学びにも繋がります。これは、年代や世代を越えて話し合うためのコツにもしっかりと利用できます。その意味から、それぞれの項目のレベル③は全てセンテンスをお考えください。初耳の内容は喜ばれます。何故なら知らなかったことを知ると、人は嬉しくなる生物だからです。それから年代や世代を越えて話し合うのに忘れてはならないのは、あなたのフルスマイルです!