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社員教育・営業

第13号〝建設・不動産業”のための全員営業の活用法【問題提起編】

社長のための“全員営業”

 建設・不動産業で最強の営業マンは、会社の外にいる

 
 第13回コラムからは、2回シリーズで、建設・不動産業が、全員営業を活用するポイントについてお話します。

 ここでいうところの建設・不動産業は、賃貸物件の紹介ではなく、工場・店舗や新築物件の建築を、ゼネコン経由でなく、自社の営業活動で獲得する場合をイメージしてください。

 建設・不動産業の特性として、借入金比率が高く、1取引あたりの金額は格段に大きい傾向があります。結果として、取引先および自社の双方の経営戦略上、景気や金利の影響をもろにうけます。

 また、建築以前に最初の当初段階で、土地や物件の確保が発生します。ゆえに、どうしても受注先行型のビジネスモデルとなる傾向が出ます。また、主要な取引先があっても、同じ取引先から毎年のように仕事が発生するとは限りません。

 そのため、建設・不動産業の営業戦略上、3年以上先の長期計画が立てづらい上に、売上計上についても、他の業種に比べて不安定さがつきまとうことになります。

 これら中小企業の建設・不動産業が抱える経営課題を、営業部門の強化や優秀な営業マンの育成だけで、解決するのは困難です。

 他社に先駆けた営業を行おうとしたいならば、主要な取引先の業績状況を把握した上で 一歩先を読んだ展開を予測し、工場建設や店舗展開の計画段階で相談相手として関われて、自社が候補地の目星をつけることができるというのが理想形となります。

 いくら、建築技術やアフターサービスが優れていても、取引先がここに建てたいというような物件の候補地を競合企業に先に抑えられてしまうと勝てません。また、候補地に影響力が発揮できるというのは、指名先あるいは元請けになるための最善の打ち手です。

 では、そのような土地は自社や競合企業も含め、建設・不動産会社が所有している土地ばかりでしょうか?。いや、その方が稀でしょう。

 多くは、地域の地主が古くから持っている土地であったり、工場・店舗を新たに作ろうとしている会社が所有していることが大半です。

 しかし、従来型のセールストーク重視の営業強化をいくらやっても、営業相手先の担当者の奥の本社部門、いままで接点のない地主に、どうすれば接点や影響力を発揮できるかは見えてきません。

 それは直接相手ではなく間接相手への営業強化のやり方だからです。今までとは別のやり方が必要となります。その実現は、他部門や経営陣を含めた全社一丸の協力体制はもちろんのこと、時には、社外に存在する営業力も発掘するなどして、初めて可能となることです。

 しかし、そこまでやったとしても、直接大きな影響力を発揮するには難しい場合があるのも事実です。しかし、間接的に意思決定へ影響を与えることや、時には味方となる方々を見出すことは可能です。

 考えてもみてください。もし営業をかけている企業の本社部門が、「あの建設会社は一度候補にいれてもいいんじゃないか?」とか、土地を持っている地主から「あの不動産会社なら安心して任せられる」と一言いってもらえることが、営業上どれだけ有利に働くかを…。

 建設・不動産業にとって最強の営業マンは、会社の内にいる営業マンではなく、普段営業マンが接している相手企業の担当者でもなく、指名先選定に決定的な要因を与える相手先の本社部門や役員会・土地を保有する地主・あるいは事業資金を提供する金融機関・・・なのです。

 これら会社の外に存在している潜在的な営業力を、単に自社の営業上の障害として考えるか、それとも間接的な営業マンや支援者として活用しようと考えるかで、会社の営業活動は根底から変わってきます。

 次回は、そういった建設・不動産業が、会社の外に存在する最強の営業マンを活用するためのヒントをお伝えします。

 
 
 ・今回のポイント(〆の一言)
 建設・不動産業では、営業現場にいない第三者が決定的な影響力を持つことが多い上に、すべての取引が会議室で決まる。会えない人の意思決定にも影響を与える営業のやり方を考えろ。
 

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