二世教育においてダイバーシティ、多様性に対する意識を高めることが必須となってきている。組織が創造的に進化を遂げるとめには様々な考えを持つ人材を取り込む必要がある。特にニーズが多様化した現代社会では緊要であり、思考形態が単一的と言われる日本が世界で成長していくためには不可欠なのだが、果たして日本社会にその自覚があるかどうか。元国連難民高等弁務官の緒方貞子氏も「これだけ情報伝達が発達した日本なのに新聞を見ると皆似かよっている。日本人にはダイバーシティは苦手なのでは」と述べている。
私が属するロータリークラブのような社会奉仕団体の場合でも、積極的な女性参加で活動が活性化し、受益者へのきめ細かい配慮など奉仕の質面での向上が実感されている。
世界の大学ランキング1,2位を争うハーバード大学ではかつては成績のよい白人男性が大多数を占めていたが、これでは大学力が落ちるということで方針転換、色々な人種、女性、学業以外何かに非常に秀いでている人、ユニークな人を恣意的に取り込むことでパワーアップに成功したとされる。
新しい発明やベンチャーでは米シリコンバレーやイスラエルが有名だが、いずれも移民などを受け入れての多様性導入が創造性をはぐくんでいる。オランダの家電大手、フィリプスも、執行役員10人のうちオランダ人は経営トップなど半数だ。新興企業であるグーグルでも世界中でマネジメントにダイバーシティを取り入れ、女性や少数民族に門戸を広げている。
日本の場合では日産がカルロス・ゴーン社長により見事に建て直されたが、その施策の一つにダイバーシティがあった。特にデザイン部門で日本人中心から多国籍スタッフとの混成チームをつくることで人気車種を世に送り出すのに成功した。
ローソンの新波剛史社長は「上海進出時に日本式のマニュアルに頼りすぎて失敗した経験をもとに社内ダイバーシティの重要性を学んだ」と語り、「さまざまなイノベーションを起こす目的で現在では新入社員のうち女性を50%以上、外国人留学生を日本人と同条件で30%以上採用している」と述べている。
大企業のみならず、中小企業やファミリービジネスにおいても、多様化したマーケット、環境の変化が激しい世の中で生き残り成長していくにはイノベーション力、活性化が欠かせず、その元となるのが、異なる意見、異なる感性をもったチームの構築だと思う。ダイバーシティは企業の成長に不可欠な「土台」なのである。
榊原節子