menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

後継者

第39回 ファミリー企業―家族としての側面

欧米資産家に学ぶ二世教育

前回はファミリー企業のオーナーシップの側面について述べたが、今回は「家族の側面」を中心に考えてみよう。

ゴイングコンサーンとしてファミリー企業を眺める時、やむを得ないことではあるが、経営者目線を優先させてしまうきらいがある。しかし企業が傾くときは身内の要因、例えば兄弟げんかとか、内紛などに端を発している場合が多い。資産の故にことは複雑になり、外部者や、時には国家さえ巻き込んでしまう。本来ならサポーターになってくれる家族や親族が相争うという悲しい状況はどうしても避けたい。

ではどうしたらいいか。前回も述べたように、ビジネスの側面、オーナーシップの側面、家族の側面、それぞれの観点を混同しないことである。

 

1)    ビジネスの側面では効率が問われ、命令系統がはっきりしている。この理論を家庭に持ち込んではならない。家族関係(一族関係)は愛情とか、思いやりの世界であって、一族の家長である父親がいかに偉大な存在であったとしても、成人した家族を命令で縛ることはできない。納得の上の合意が必須である。現に自社株の納税猶予制度を利用するにしろ、遺産分割協議書にしろ、全員の合意がなければ物ごとは進まないのだから。

2)    家族問題で一番大切なのは信頼関係ではないだろうか?それには時間をかけ、コミュニケーションをとって育んでいくことが大切だ。できれば幼少時より小遣いとか手伝いの問題を家族会議で討論する、その延長線上で成人後も定期的な話し合いの場をなるべく多く持つようにしたい。

3)    家族の中で関与していない人に対しても、ファミリー企業の動向を知らせる努力が欲しい。たとえ株主であったとしても直接会社に関与している兄弟との間に情報格差は否めず、それが疎外感をもたらす。応援団になるのではなく、批判分子になり、ひたすら高配当を要求するようになってしまう。

家族全体の緊密なコミュニケーションを図るため、成人して別々の所帯を持った後も家族のHPを作成したり、メールでの一斉通報、定期的な会食、法事旅行などを工夫してみてはどうだろうか。

ファイナンシャルアドバイザー

榊原節子 

第38回 オーナーとしての側面前のページ

第40回 危機時の対応をどう教えるか次のページ

関連記事

  1. 第15回 タイガー・ウッズのお父さんの教え

  2. 第36回 日本にいながら国際的視野を

  3. 第55回 日本人が苦手なダイバーシティ(多様性)への取り組み

最新の経営コラム

  1. 第2回 心理的安全性が生む経営成果:意思決定スピードと市場対応力を高める方法

  2. 第1回 成長を加速する組織の条件とは? 経営者が今すぐ確認すべき10の質問

  3. AIの答えに埋もれないあなたらしさ──思いを伝える文章術5つのステップ

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 2025.04.04

    ピョートル・フェリクス・グジバチの『経営戦略の新常識』の連載がスタートしました!経営コラム「JMCAweb+」更新のお知らせ

  2. 2025.04.04

    【最新刊】平美都江氏「利益爆発の経営法則」音声講座(CD版・デジタル版)日本経済新聞4月4日朝刊 広告掲載のお知らせ

  3. 2025.04.01

    先月度 売れ筋人気ランキングの更新のお知らせ

  1. 戦略・戦術

    第73話 「『銀行との平素のお付き合いを大切にする』という過ち」
  2. 社員教育・営業

    第37回 「電話に出る時の環境づくり」
  3. 採用・法律

    第49回 『70歳まで働きたいといわれたら?』
  4. 経済・株式・資産

    第9話 「多様化する資金調達手法 ~③ 官民ファンド~」
  5. 経済・株式・資産

    第77回「ネットの性格を巧みに利用して新しい形の出版社を作り上げる」アルファポリ...
keyboard_arrow_up
menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ