menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

後継者

第74回 大学の費用はだれが負担するか

欧米資産家に学ぶ二世教育

日経新聞夕刊のコラム「こころの玉手箱」に登場したボストン・コンサルティング・グループ日本代表水越豊氏。家は裕福な方だったが、父親が厳しく、教育費用は自分で工面するよう言われたそうだ。親から借りた高校の学費は、育英会と同じ条件で返済し、大学もアルバイトで稼ぎながら自力で卒業。「厳しく育ててもらって今は感謝している。」と述べている。

これは日本においては稀有なケースで、経済的に余裕があるなら親の負担が一般的だ。家族主義の伝統を持つ、中国、韓国、日本以外では自動的に「大学費用は親負担」とはならないようだ。

北欧諸国など国家が面倒をみるというところもあるし、個人負担の国、例えばアメリカでは、経済的余裕がある場合でも並べて親が100%払うわけではないようだ。高校時代からアルバイトをし、夏休みも大学の学費を稼ぐために働く。カナダの友人の親は手広くビジネスをしていたが、「大学費用の20%は子供負担」という家の決まりがあり、高校時代、放課後は毎日ガソリンスタンドで働いて費用を貯めたそうだ。オーストラリアの友人は大学の費用は全部自分で算段したし、これは「誇りの問題だ」と言っていた。

授業料高騰の折、全額というのは無理にせよ1割でも2割でも自分で払うとなれば、「元はとってやるぞ」と授業に対する姿勢だって貪欲になるのではないだろうか。

全面的に奨学金やアルバイトで授業料・生活費を賄うとなると厳しい。稼ぐのに精一杯で勉強に充てる時間が少なくなるかもしれない。奨学金も貸与型のだと、のちのちまで返済負担が重くのしかかる。デフレ進行で就職難、親の収入減が続いたため奨学金の未回収率が大幅に増えているのが現状だ。大学費用は親が払って当然だという前提を変えなければ、今後家計への負担が増え続け、親は自身の老後資金に支障が生じてしまうことになる。

教育費用の問題はアメリカンドリームを誇る米国でも、授業料高騰、若年層の失業問題等々、結果として、卒業の奨学金負担が重くのしかかり、貧困が世代を超えて受け継がれようとしている。                                       ライフスタイルアドバイザー 榊原節子

第73回 エリート養成 ― 大局観がもてる人前のページ

第75回 子どもにサポートチームを次のページ

関連記事

  1. 第83回 リスクの原語は「勇気をもって試みる」

  2. 第46回 資産やビジネスを相続したアメリカの女性たち その2

  3. 第35回 お金のメッセージ性

最新の経営コラム

  1. 楠木建が商売の原理原則を学んだ「全身商売人」ユニクロ柳井正氏

  2. 第10講 WILLとMUSTをCANに変える:配属に不満がある社員とどう関わるか

  3. 第147回『紫式部と藤原道長』(著:倉本一宏)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 戦略・戦術

    第183号 900兆円
  2. 税務・会計

    第9回 新規投資は「最悪のケース」を想定して決める 
  3. 戦略・戦術

    第162号 通販利用が高まる、出産の内祝い
  4. 経済・株式・資産

    第106話 米中「貿易戦争」の背景と今後の展望(下)
  5. ビジネス見聞録

    第9回 今月のビジネスキーワード「フィンテック」
keyboard_arrow_up