しかし、初級職から上級管理職まで、責任等級別に号差金額(昇給1号の単価)を定め、評語Sは6号昇給、評語Aは5号、評語Bは4号昇給する。ここまでは仕事力を発揮してくれた社員の実力昇給ですから分かります。しかし期待はずれだった評語CとかDの社員まで昇給するというのは…」とセミナーで難色を示される経営者がおられました。
実はこの評語別の昇給号数S=6号・A=5号・B=4号・C=3号・D=2号のルールは、その等級として基本給がさほど高くない、仕事力の上昇が著しい基本ゾーンでの話しなのです。この間に成績優秀社員の多くは仕事力を評価され、より難度の高い仕事を任され、上位の責任等級に登用されることになるでしょう。
この基本ゾーンでの実力昇給の結果、給料はその等級として妥当な水準に近くなります。それから先は仕事力を存分に発揮してもらう調整ゾーンとします。
Hさんは35歳までは評語B=4号・昇給金額は7200円となりますが、36歳から41歳までは1次調整ゾーンですから、評語B=3号・昇給金額5600円となります。そして42歳から47歳までは2次調整ゾーンで評語B=2号・昇給金額は3600円となります。さらに48歳から52歳までは3次調整ゾーンで評語B=1号・昇給金額1800円となり、53歳からは4次調整ゾーンで評語B=0号昇給となります。ただし、評語A以上であれば定年の歳まで1号昇給とします。
「うちの会社は平均年齢が高く、社員の仕事力には大きな開きがある。3次調整ゾーンで評語Dはマイナス1号、4次調整ゾーンで評語Cはマイナス1号、Dはマイナス2号の降給としてはいけませんか」と厳しい経営者から質問がありました。
「そのように給与規程で定めることは可能です。しかし仕事を変えずに給料を下げてまで雇い続けるべきでしょうか。もしも成績評語でCとかDが2回、3回と続くようであれば、責任等級ですから、きちんと説明のうえ、下位等級で心機一転やり直してもらうよう指導するほうがベターでしょう」とお答えしました。