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- 第216号 葬儀・僧侶の手配も、ネット通販の時代に
アマゾンジャパンは、昨年12月8日から自宅・お墓などに出向き、法事法要を行う僧侶を手配するサービス『お坊さん便』の取り扱いを開始した。このサービスは、葬儀関連の紹介サイトを運営する「㈱みんれび」がアマゾン上に出品しているもので、このサービス自体は、3年前から開始されており、料金は自宅など手配先への訪問のみなら3万5,000円と定額で、クレジットカードでも 決済できる。
今回のアマゾンでの販売開始により、このようにリーズナブルな価格と、手配書をネット通販するという斬新なスタイルが話題を呼び、一気に知名度が上がったようだ。現在、このシステムに登録している僧侶は400名で、アマゾンや「みんれび」への手数料を除いた分が僧侶への“お布施”となる。心づけやお車代、ご膳料といった追加料金は一切不要で、全国どこでも手配が可能だという。
このサービスに対し、業界団体の全日本仏教会は、「宗教行為をサービスとして商品にしている」と、神経を尖らせているが、すでに相当数の利用者がおり、また登録を希望する僧侶からの問い合わせも急増しているようだ。
超高齢化と共に、葬儀の簡略化・スピード化が進み、密葬が一つのスタンダードとなっている現代では、間違いなく必要とされるサービスで、「地方出身者で菩提寺がない」「お坊さんとの個人的な付き合いがない」という人や、葬儀に関する風習や不明瞭な料金体系に疑問を持つ人に支持 されている。時代の変化に伴う“エンディング(終活)”の一現象である。
従来の仕組みを壊すイノベーションに反発はつきもので、必ず硬直した考えを持つ保守派は存在するが、利用する・しないは消費者が決めることである。時代が必要とするものは、どんなに反対勢力が阻止しようとも根付くもので、小売業の中での通販も、この道を乗り越えてきた。