- ホーム
- 眼と耳で楽しむ読書術
- 第96回『百戦錬磨-セルリアンブルーのプロ経営者』(著:ハロルド・ジョージ・メイ)
2020年が始まりましたね。
記念すべき東京五輪イヤーに、少しでも皆さんのお役に立てるよう、
よき1冊、よき1枚をお届けしていきたいと思います。
引き続き、よろしくお願いします。
景気づけも兼ねて、さっそく今年最初の一冊を!
話題の"青い目のプロ経営者"による、初の著書を紹介します。
『百戦錬磨 セルリアンブルーのプロ経営者』(著:ハロルド・ジョージ・メイ)
ハイネケン、日本リーバ、サンスター、日本コカ・コーラを経て、
赤字経営だったタカラトミーを立て直し、Ⅴ字回復に導いた敏腕経営者として
名を馳せ、現在は新日本プロレスの社長として活躍するメイ氏。
満を持して出された本書は、これぞ、経営論の傑作!
優れた発信力で定評あるメイ氏だけに、ありがちな経営書とは一線を画す工夫が満載。
理論はわかりやすく、かつ具体的な事例が豊富で、まるで直接セミナーを受けているかのよう!
特に、第2章のマーケティングについて、第3章の 経営について、は特筆もの。
例えば、もはや成長見込みがないように見える、
"既存の商品"を使って売り上げを伸ばした事例は必見!
1つは、成田空港での"ガチャガチャ"こと、カプセルトイ売り場の新設
1つは、コンビニでの常温の水やお茶の販売
「新たな売り場の開拓や潜在的な使用ニーズを掘り起こすことで
市場が1.5倍や2倍になることがあります」
と語り、その舞台裏を惜しみなく披露してくれています。
さらに、SNS活用への考え方、方法論も興味深いところ。
SNSのことが、まだまだつかめていない経営者も多いだけに、
低迷していたリカちゃん人形を人気回復させた事例は、
大いに参考になるかと思います。
スキルに加え、心構えの面でも、読み応え十分!
「どんなに大きな企業同士でも、突き詰めれば
最後は人と人の気持ちが結果を生み出します。
料理に日と手間をかけるとグっと美味しくなるように、
ビジネスもひと手間の工夫がモノを言います。
そのひと手間が人の心を動かしさまざまなことを可能にするのです」
「これまで6社で働き、数多くの経営者と交流してきましたが、
会社経営をする人に大切なことは経験やスキル、後ろ盾があるだけでなく、
「グッドハート」があるかどうかだと思っています。
グッドハートがないと人を大切に育て、会社を成長させることはできません。
会社や商品を愛し、100%集中して向き合わないと、人を感動させるような仕事は
できません。保身に走るのではなく、お客さんや働く人たちのために正しいことを
できる人、長期的な視野を持って面倒なことにも着手して会社を守れる人、
人としての優しさや包容力を持った強いリーダーでありたいと思います」
など、挙げればキリがないほどです。
今の時代はもちろん、これからの時代を見据えて
今すぐ読んでいただきたい一冊!
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『ショスタコーヴィチ:ジャズ音楽集 CD』
(指揮:リッカルド・シャイー 演奏:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)
です。
巨匠ショスタコーヴィチの名曲を、メイ氏の出身国オランダが誇る、
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が熱演!
世界的オーケストラの名演と合せて
本書をお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。