menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

税務・会計

第25回 納税手続きは「e-Tax」と「ダイレクト納付」で効率化

賢い社長の「経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」

 2021年4月から、税務署へ提出する申告書や届出書には、原則としてハンコを押さなくてもよくなくなり、行政手続きの効率化が始まっています。法人の電子申告の利用割合は約9割に達しています。すでに多くの社長が、申告書に署名押印をしていないことでしょう。
 このように税務手続きはハンコレスやペーパーレスになりつつあります。しかし経理の仕事を見ると、紙の納付書を使って税金を支払っている会社がまだ多くあります。
 そこで今回は、毎月10日の源泉所得税の納税手続きについて、短時間で簡単に処理する方法を紹介します。これによって、経理の仕事がまたひとつ確実に楽になります。すぐに試してみてください。

最後に税務署の書類に押印したのは、いつですか?

 

「e-Tax」(WEB版)で業務時間と人件費が大幅に削減できる

 中小企業の経理では、税金の支払いのためにわざわざ銀行の窓口に出向いて手続きをしている会社が少なくありません。納税手続きのためだけに、1~2時間を費やしているのです。この人件費を考えると、税金に数千円を上乗せして払っていることになります。
 これまでは税務署のデジタル化が遅れていたので、銀行窓口に出向くことは仕方ありませんでした。さらに、法人が電子申告で利用するe-Taxシステムは、専用ソフトをダウンロードしなければならず、操作性も使いやすいとは言えませんでした。そのため、中小企業の経理は紙の納付書を書いて、銀行窓口で手続きを続けていました。
 しかしここ数年で状況は変わりました。e-Taxの使い勝手がよくなり、誰でも容易に操作できるレベルになりました。
特にお勧めしたいのが、e-Taxソフト(WEB版)です。パソコンとインターネットがあれば使うことができます。Web上でログインするだけで専用ソフトのインストールをする必要がなく、すぐに利用が可能です。
また、e-Taxソフト(WEB版)での源泉税の手続きの場合、個人の所得税の確定申告のときに必要な電子証明書(マイナンバーカード)はいりません。税務申告を依頼している会計事務所にe-Taxの利用者識別番号とパスワードさえ聞いておけば、いつでも経理社員のパソコンで処理することができます。
 操作はとても簡単です。画面に表示される源泉税の納付書に、日付や金額を入力するだけです。入力内容を確認して送信ボタンをクリックすれば完了です。

御社の経理は、納税手続きにどのぐらい時間をかけていますか?

 

「ダイレクト納付」で作業効率が大幅に上がる

 e-Tax (WEB版)で源泉税の手続きを済ませたら、その後の税金の支払いも会社のパソコンからインターネットで処理することができます。電子申告の後に発行される番号を使い、公共料金の支払いなどで利用されているペイジー(Pay-easy)で支払いができます。
そしてもっと便利なのが、「ダイレクト納付」です。
 ひと言でいうと税金の口座振替です。ダイレクト納付を利用する約1カ月前までに、利用申請書に税金の引き落としに利用する銀行口座を指定し、銀行届け出印を押印して所轄の税務署へ提出します。ダイレクト納付の利用が始まると、e-Taxで電子申告した納税額が、納期限に会社の銀行口座から引き落とされます。
 e-Tax (WEB版)とダイレクト納付をセットで活用すると、毎月の給料計算が終わった後に、経理のパソコンで源泉税の納付手続きを10分以内に完了できます。
 もうすでに、毎月の社会保険料の支払いは口座振替にしていることでしょう。源泉税の手続きも、ダイレクト納付で口座振替にしてしまいましょう。作業工程を一連の流れにしておくことで、源泉税の納付漏れを防止するのにも役立ちます。

御社では、源泉税の納付を忘れて加算税を追徴されたことはないですか?

 

納税手続きの電子化で、社長は数字の確認だけでよくなる

 今回は毎月の源泉税の納税手続きについて、e-Tax(WEB版)とダイレクト納付を使って効率化する方法を紹介しました。
 同様にダイレクト納付は、法人税や消費税、そして地方税(eLTAX [エルタックス])の支払いにも利用できます。まだ利用していない会社は早速、顧問税理士に依頼して、電子申告後にダイレクト納付で税金を口座振替するように手続きをしてもらいましょう。法人税、消費税、地方税も税務関係の手続きを電子化しておけば、社長は数字の中身を確認するだけで、煩わしい手続きから解放されます。
 ただし、申告や納税手続きのすべてを会計事務所と経理に任せきりにして、残高不足で税金の引き落としができなかったということがないように注意してください。

御社は、1年間に何回納税手続きをしていますか?

(注)e-Tax、eLTAX(エルタックス)、ダイレクト納付の利用についての詳細は、顧問税理士に確認してください。

[参考]
国税庁「e-Tax国税電子申告・納税システム」
https://www.e-tax.nta.go.jp/nozei.html
国税庁「e-Taxソフト(WEB版)」
https://clientweb.e-tax.nta.go.jp/UF_WEB/WP000/FCSE00001/SE00S010SCR.do
国税庁「e-Tax国税電子申告・納税システム」「ダイレクト納付による納税手続」
https://www.e-tax.nta.go.jp/tetsuzuki/tetsuzuki4_1.htm
地方税共同機構「eLTAX (エルタックス)地方税ポータルシステム
https://www.eltax.lta.go.jp/

ー - - - - - - - - - 
【講師最新セミナーのお知らせ】
2021年9月3日(金)開講【全4回】
月次スピード、財務力、資金力をケタ違いに伸ばす!オンライン講座
第12期・社長の強い味方になる
「プロ経理 養成講座」
児玉尚彦(プロ経理育成コンサルタント)
形式:オンライン講座
*全講、16時半から個別指導の時間を設置。
会期中の決算業務、月次、事務処理……社内実務に並走しながら、円滑に最先端の経理実務を落とし込んでいただけるようフォローします。

▼ 詳しくは日本経営合理化協会サイトをご覧くださいませ ▼
https://www.jmca.jp/semi/S214459

2-s2625.1100x9999.none.jpg

 

第24回 「社長の利益に対する考え方」で経営に差がつく前のページ

第26回 人材開発投資で「労働生産性」と「収益性」を上げる次のページ

関連セミナー・商品

  1. 月次決算は5日間で出せる!スターターキット

    月次決算は5日間で出せる!スターターキット

関連記事

  1. 第26回 人材開発投資で「労働生産性」と「収益性」を上げる

  2. 第17回 財務数字を前年と比較して、次の手を打つ

  3. 第57回 インボイス制度導入前後に注意すべき3つのこと

最新の経営コラム

  1. 第221話 令和7年の税制改正

  2. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳 2025年1月15日号

  3. 第50話 採用初任給の大幅な引上げにどう対処するか

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. ブランド

    基準設定のすすめ
  2. 税務・会計

    第94号 BS「格言」 其の三十九
  3. 社長業

    第37回 経営とは、「経験の科学」である
  4. 健康

    第6回 「氣を切らない」
  5. 後継者

    第62回 後継者に教養をどう身につけさせるか
keyboard_arrow_up