【17】お礼品、交換品、おわび品はすべて独立商品で。合算提供はNG
相手には、いろいろなものをあなたからお渡しすることになるわけです。
よくあるのは、
1,ご連絡をいただいた「お礼品(手みやげ品)」
2,問題の現品と引き換えの「交換品」
3,会社側がおわびすべきと判断した場合の「おわび品」
の3つのものが代表的ですが、
私がお願いしたいのは、たとえばお礼と交換とおわびを同時にすませてしまいたい時に、
1000円のお礼品と、お買い上げ商品と同等金額の交換品と、おわびしたい気持ちを
表すためのおわび品は、それぞれ、別々のものを用意してくださいね。
合わせて金額相当にして5000円程度になるからといって、
5000円の品物をひと包みお持ちすることはしないように心がけてください。
さらに、それらを相手に差し出すときには、それぞれの包み
の意味を明確にお伝えしながら差し出すように意識してください。
「今回ご連絡いただきましてありがとうございます。こちらはそのお礼の気持ちでございます」
「それでは、現品をいただいてまいりますので、こちらが交換品ということで同等のものをお持ちいたしました」
「それにいたしましても、このたびはたいへんご家族様にご迷惑をおかけいたしましたことはたいへん心苦しく思っておりまして、こちらはそのおわびのお気持ちでございます」
というように、心地のいいタイミングを作りながら、はっきりとそれぞれの意味合いを伝えながらお渡しするのです。
これが、合計5000円のものをお渡ししようというものなら、たいへんな危険をはらみます。どんな危険かと言いますと、
「お礼はもらったけど、交換品は置いていかないで現品を持って行っちゃったわよ!!」
「交換品は置いていったけど、おわびの気持ちとか何とか言いながら、結局持って帰っちゃったわ!」
なんていう錯覚から、2次クレームが発生するのです。つまり、まとめてひと包みにした場合は、
なんだかんだいったって、ひとつの気持ちしかくみ取ってもらえないものなのです。
とてもたわいもないことのように見えますが、取り組むと取り組まないのとでは、
伝わり具合が雲泥の差、よけいな失敗をしないコツです。
【18】差し出し方のマナーは、紙袋から必ず出して重ねてすべらせる
次に気持ちを伝える包みのお渡しのしかたですが、
1,紙袋から出し、
2,紙袋を折りたたみ、
3,包みをその紙袋の上にのせます。
4,相手から見て正面になるように。向かい合っている場合は、
自分からは逆さになるように。手提げ袋の底が相手で、手持ち部分は自分の方に。
5,紙袋の上に包みをのせたら、紙袋と包みを少し固定する
ような気持ちで、紙袋の両端と、包みの両脇に両手を添えます。
6,3センチほど相手に向ってすべらせてください。
7,和室でお渡しする場合は、たたみの上で。洋室でお渡しする場合は、テーブルの上をすべらせます。
中村友妃子
【出所・参考文献】
『クレーム対応のプロが教える“最善の話し方”』(青春出版社刊)