子犬の2回目のワクチンで来院したクライアントさんよりいつになったら自分の診療の順番になるのだというクレームがありました。とても混んでいましたので1時間ぐらいお待ちだったと思います。注射1本で済むことなのに何故こんなに待たなければならないのか?自分より後に来た人が先に名前が呼ばれていて納得いかない。(後から来たクライアントは状態が悪く看護師が気を利かせて先に預かっていました) その人より他にもお待ちになっている人はいますし、特別にその人だけの順番は変えられません。どのような対応をすると納得していただけるのでしょうか?
(※出典:インターズー刊 Q&A解説「絆」が求められる時代の動物病院マネジメント)
≪対応の誤りへのアドバイス≫
(1)ただ、ワクチン注射のために来院されたクライアントさんを、1時間の間何らかの声をかけることもなく、ただ待たせているというその配慮のない対応に、怒りが発生しても当然です。
(2)「でもこっちも忙しいので。」と言いたいと思いますが、待っている飼い主さんの中にものんびり待っている人と、ソワソワして待っている人がいると思います。その相手の態度に応じて、対応をしていくのが接客です。
(3)つまり時間を気にしてそうな飼い主さん、「まだかなあ~」などと動物につぶやいている飼い主さんには、まだ待ってもらわなければならないとしても、声をかけるのは当然です。飼い主さん方も、待合室の状況を見て「今日は待たされるな」という覚悟はできていると思いますが、「待つことが当たり前」のような、気配りもお詫びもない病院側の態度は許せないものです。
≪対応のアドバイス≫
(1)「まだですか!」と言われたら「お時間が気にかかられているのに対応が行き届かず申し訳ございません。でもご指摘をいただいてよかったです。ありがとうございます。」と、『お詫び』と『お礼』の二言挨拶をします。
(2)「あとどのくらいかお調べいたしますので、お席へどうぞ」言って、何番目の処置になるかを調べます。
(3)席まで行き、相手が座っているならひざまずいて、「大変お待たせしました。あと**番目になります」と時間で伝えるのではなく、順番で伝えます。「それって、何分ぐらい?」と聞かれると答えがむずかしいので、その言葉を言われたら「お急ぎですか?」と時間で答えないように、あえて何か質問をします。そしてそのお返事の話題を少し膨らませます。
(4)そしてその場を離れるときは、「ここは寒くないですか?」や「お水お持ちしましょうか?」や「ブランケットお持ちしましょうか」や「ハッピーちゃん、お手洗い大丈夫ですか」など、なにか役にたてそうなことを提案してください。
(5)または、「ハッピーちゃ~ん、ごめんね~もうちょっと待ってね~」と動物言葉で動物に話しかけてください。
(6)そうすればもう少し待っていただくことができます。が、ここからはその飼い主さんと動物に、特に目を配って、さらに我慢がきれる前に、声をかけることです。
(7)本来は、飼い主さんがソワソワしてたり、イライラしてたりする様子を察知し、「まだですか?」と言われる前に3.4.5.の声かけをすることがやらなければならないことです。相手に辛抱をさせるのだから、こちらもそれなりの目配りや言葉遣いや態度が必要です。
親切の先取りが、クレームを防ぐのです。
※用いた事例は、実際事例ではなく、よくある事例を基本にして、講師が、独自に作成した事例であることを
ご了承ください。