はじめまして、株式会社脳の学校代表、加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳(かとうとしのり)と申します。
今月から、経営者の日々の脳の健康(Brain Health)を支える立場に立って、「経営者の月刊脳番地トレーニング」を解説しながら、脳科学的な視点から経営者に役立つ情報を連載させていただきます。
経営者の皆様には、ぜひ、月ごとに紹介する「脳番地トレーニング」を行って頂きたいと思います。「毎日、経営のために、こんなに頭を酷使しているのに、その上に、トレーニングか?!」と思われるかも知れません。
しかし、だからこそ、「経営者の月刊脳番地トレーニング」を実践して頂きたいと思います。日々があっという間に流れ、「先々月の経理が終わったばかりとおもっていたら、もう今月も終わりか、うちの税理士は、毎週来ているような気がするな。」ということもしばしばではないでしょうか。
このように、経理に追われる状況で月々を過ごしていたのでは、脳の健康によくありません。だからといって、止めるわけにはいきません。
日々があっという間に流れるどころか、月々さえ、あっという間に流れる感じがするのは、脳の働きが、間違いなく鈍っているためです!
もちろん、脳の働きが鈍ったとしても、経営者のすべての脳が鈍るわけではありません。「脳番地(のうばんち)」といって、脳は番地ごとに働いていますので、正確には、「脳番地の働きが、鈍っている」と考えるのが適切です。
この場合、日々があっという間に流れるどころか、月々さえ、あっという間に流れる感じがすると言うのですから、ずばり、「Episodic Memory(出来事に関係する記憶)」が鈍っていることになります。
「記憶系脳番地」の中でも、海馬(かいば)の働きが関係するエピソードメモリーの低下は、認知症の代表的な症状です。
「いやー、そんなはずはない。先週、オレは、ゴルフで大叩きして、それが悔しくて今週は毎日打ちっ放しに行っている。出来事の記憶が低下しているはずはない。」とおっしゃられるかもしれません。
確かに、そこまで、悔しがるのですから、「感情系脳番地」をがっつりお使いになり、仕事で怒るだけでなく、私生活でもガミガミと自分に怒っているのは事実です。海馬の隣には、直径1センチ大の感情系の中枢である扁桃体(へんとうたい)が、左右の脳にどっかりと座り、社長の“ガミガミ反応”を日々支えています。
“怒り”は脳の働きが鈍った時に起こりやすくなります。とりわけ、理解できない時、理解系の働きが上手く回らないときに、怒りがこみ上げてきます。
「オレは、あんなに大叩きするほど、ゴルフは下手くそなはずじゃない、何故だー、何故なんだーー。」となります。
そんな時、怒ってばかりいては脳の酸素代謝効率が下がるだけです。脳は効率よく働くときに快適感が湧いてきます。不思議ですが、これも事実です。
「そう言えば、前日に、商談がまだまとまらなくて、もやもやしたまま、朝起きて、とりあえずゴルフに出かけたなー」「よくよく考えてみると、その前日の商談の準備で徹夜だったんだ。そうか、オレのゴルフが下手くそなせいではなく、寝不足で脳みその働きが悪かったんだなーー。」
ここまで考えられたら、出来事記憶(エピソードメモリー)をしっかり働かせていることになります。
しかし、闇雲に、“ガミガミ反応”をしているだけでは記憶系を十分に活動させたとは言いがたく、日々があっという間に流れるどころか、月々さえ、あっという間に流れる感じがするワケです。
【今月の月刊脳番地トレーニング】
今月の月刊脳番地トレーニングは、出来事記憶(エピソードメモリー)の鍛え方として、
「ガミガミ反応が出始めたらもう一度、よくその前後を思い出そう!」です。
ぜひ、このテーマで、今月を過ごしてみましょう。経営者の脳の健康のために!
■加藤俊徳氏 著書
■加藤俊徳氏 特別講話CD