わが国経済の基盤であり、産業競争力を支える中小企業の企業活動を支援するために、
今回の税制改正では次のような措置が講じられます。
1.法人税関係
(1)中小企業に対する軽減税率の時限的引下げ
中小法人等の平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得金額のうち、
年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率が22%から18%に引き下げられます。
(2)中小企業の欠損金の繰戻し還付の復活
中小法人等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額については、
欠損金の繰戻しによる還付制度の適用ができることになります。
2.事業承継関係
(1)民法の遺留分に関する特例
平成21年3月1日から、一定の要件を満たす後継者は、遺留分権利者全員と合意して経済産業大臣の確認と
家庭裁判所の許可を得ることを条件に、遺留分に関する民法の特例が受けられます。
具体的には、
1、生前贈与株式を遺留分の対象から除外すること、
2、遺留分の計算上、生前贈与株式の評価額を
予め固定することです。
これにより贈与株式自体や後継者の貢献による株式価値上昇分が遺留分減殺請求の対象外にできるようになります。
(2)相続税の納税猶予制度の創設など
平成20年10月1日以後の相続等について、取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度が創設されます。
この制度は、経営承継相続人が相続等により一定の非上場株式を取得した場合、既所有分も含めて議決権株式総数の
3分の2に達する部分に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予するものです。
経営承継相続人がこれらの株式を死亡時まで保有し続ければ猶予税額の納付は免除されます。
このように平成20年10月1日に施行された「経営承継円滑化法」を受けた改正により、
中小企業の事業承継を支援する制度が拡充されたので、活用のために詳細に検討してみましょう。