私が、以前から奨めている即時償却が延長されるからです。
もともと、今年の3月末までだったのが、令和5年3月末まで、 2年間延長になりました。即時償却とは、投資した初年度に、
機械や備品などの投資額を、すべて減価償却できる、という制度です。
キャッシュフロー経営の観点からは、
必要な経費は、できるだけ早く、大きく計上したほうがよいです。
この意味で、即時償却という制度は、
キャッシュフロー経営の申し子といえるのです。
私が考える、即時償却のメリットは4つです ①キャッシュフローがよくなる(現金が残る) ②将来何があるかわからない ③総資産が増えない ④法人税率は、将来下がってゆく ①即時償却をすれば、多額の減価償却費を計上できます。 これを特別損失で計上すれば、銀行や格付会社が気にする 営業利益や経常利益を減らさずに、税引前利益を抑えることができます。 本業で利益が出ていれば、法人税を払うことなく、キャッシュが残ります。 ②今期は、業績が良くても、将来業績がわるくなるかもしれません。 それなら、いまのうちに、落とせるものは落としておいたほうが、良いのです。 たとえ、キャッシュの支払がなかったとしても、業績がわるいときに、 減価償却費を計上すると、営業利益、経常利益が少なくなります。 この①②は、今回のコロナショックで、 痛感した会社も多かったのではないでしょうか? ③即時償却をすれば、当然ながら、設備投資した金額が、 資産に計上されることはありません。 つまり、総資産が増えずに、身軽な体質をキープできます。 ④将来的に法人税は更に下がってゆきます。 それなら、いまのうちに即時償却をしておいたほうが、 税効果という意味でもメリットがあります。 以上、4点が即時償却をすすめるポイントです。 「長い目で見れば、どっちも同じじゃないですか?」 は、税理士や経理マンの発想であって、経営者の発想ではないのです。 そして、即時償却の内容ですが、 対象設備としては、次のようなものが挙げられます。 ・機械・装置(160万円以上) ・工具(30万円以上) ・器具・備品(30万円以上) ・建物附属設備(60万円以上) ・ソフトウエア(70万円以上) 対象設備のポイントとしては、建物附属設備は対象になりますが、 建物(躯体工事等)は、対象外である、ということです。 建物附属設備というのは、電気、ガス、空調などの、いわゆる設備工事です。 この即時償却には、A型、B型、C型があり、さらに今回の税制改正でD型ができました。もともとは、A型、B型だけでしたが、
コロナでC型ができて、税制改正でD型ができました。
今回は、C型とD型について、少し解説します。
C型というのは、デジタル化のための設備投資です。
対象設備は、次のいずれかを実現するものです。
①遠隔操作
②可視化
③自動制御化
いわゆる蜜を避けるための投資です。
・デジタル技術を使って遠隔操作するための投資(センサーなど)
・非対面で仕事ができるようになるための投資
・いつも出勤している場所以外でも仕事できるようにするための投資
・データの集約とか分析が可能になるような投資
こういったものへの投資が、C型の対象となります。
そして、今回新たに税制改正でできたのがD型となります。
これは、M&Aをした会社が、新たに設備投資をする場合には、
その設備投資が、即時償却の対象になる、というものです。
私も、これまで多くのM&Aに関わってきましたが、
・老朽化した設備の更新
・買い手のシステムに合わせるためのソフトウエア投資
など、M&A後には、設備投資をするケースが多いのです。
国としても、設備投資をして、経済をまわしたいということで、
従来のA型、B型に加えて、C型、D型ができました。
是非とも、この即時償却制度を活用して、
わが社のキャッシュフローを最大化させてください。