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イメージ戦略の一般論と罠 その8「知識とテクニックにおぼれた勘違い」

最高の自分を表現する 成功イメージ戦略

現代ビジネ社会に於いて、メディアをはじめとした世の中の不特定多数に向けて、企業を代表して情報を発信し、登場する機会のあるトップエグゼクティブやスポークスマン。これらの方々のイメージのあり方とそのマネジメントは企業にとって非常に重要な課題です。その様に、つくづく大切だと思わされるキーワードは、何をおいても「自信」。これが相手にアピアランス(存在感)で伝わるかどうか。

では、それにはどうしたらよいのか?今や一般的に知られるところとなった、赤いパワータイ、勝負スーツ、立ち居振る舞い、発声の仕方、歩き方、さらにメディア対応のノウハウ、クライシス時の対方法等々、挙げたら数限りのない程のテクニックとそれを実践する為のアイテムの数々。これらを全部身につけて、その方法を取り入れたら絶対大丈夫なのか?と言えば、残念ながら違います。そう、ここが勘違い。何の為にその人がそれをする必要があるのか?最も強化すべき部分とその理由や意味を理解しているのか?ここが省略されているからです。


人にとって重要なのは、小さくても構わない、身に付けた物やテクニックによって、目的とする場面や事柄に関する何らかの成功体験を重ねること。それによって、人は自信をつけていきます。物体で例をあげてみるとしましょう。「そのネクタイ素敵ですね」と話題を提供することになり、そのミーティングが和やか且つ円滑に進み、信頼関係を築くことができた。それが一回ではなく何度とある。これは確実に自信につながりますね。あるスタイルのスーツを着て取材を受ける、その写真がメディアに掲載された後には、いつも沢山の良い反響がある。これも大きな自信につながるでしょう。その物を身につければそれでOKなのではなく、それでどのような結果が出たか?その現実的な経験値の多さから自信というものは宿ってくるのです。そして、最初はもしかしたら少しぎこちなかった着こなしや振る舞いも、どんどん身に付き自然にご自身の物になる。そうしたころに、確固たる堂々とした余裕と自信が漂うようになってきます。


実際、メディア対応のコンサルティングとトレーニングをご依頼いただく際、担当者の方(主に広報・秘書のご担当の方)からお話を伺う中で共通しているのは、トレーニーとなるエグゼクティブの方に「自信をつけさせて差し上げたい」ということ。これが各社共通、且つ最も根源的な目的なのだということを実感します。


以前このような依頼がありました。某外資系企業、アメリカ人トップエグゼクティブの方のコンサルティングとトレーニング。トレーニーはとても日本語が堪能な方。すでに過去数回のメディアトレーニングを受けていらっしゃるとのことでした。アメリカ人でエグゼクティブ、日本語も堪能、すでに何度もメディアトレーニングを受けている、となれば何が問題?と疑問に思うくらいの方です。確認しながら質問してゆくと、そこでも担当者の方の口から出たのは、「自信をつけてもらいたいんです」とのことでした。トレーニーはアメリカ人にしては小柄、ほぼ日本人の男性サイズ。体と声の一般的な比率からいけば、やはり声も大きくはない。最初は、会見での受け答え、メディアを前に話す際のジェスチャーやその他のテクニックを強化する方向の依頼でしたが、多分過去に行ってきている物と変わり映えしないはず。そこで、色々伺う中で出てきた中心の目的は、「端的にいえば、メディアの前に露出するにあたり、自信があるイメージになって欲しい。本人に自信をつけさせてあげたいんです」とのことが分かりました。多分、過去にはテクニックを沢山学ばれたことでしょう。しかし、ご本人が「人前に出る自分、大丈夫」と思えない限り、そのテクニックも知識も何の役にも立ちません。物事は全てそうですが、そこに何故それをする必要があり、自分がそれを実行しなくてはならないのかをどれだけ現実問題として理解しているか?そして、その方がメディアの前で堂々としたイメージに見えない恐れがあるのだとしたら、それがどこから来ているのか、お仕着せのテクニックではなく、現実的な問題点を明確にする必要が出てきます。
この方の場合、いえこの方だけではありません、どんなに優秀な経営者の方であっても、ご自身のアピアランスに自信を持てずにいる方は本当に多い。その為、人前に出ると余裕を失ってしまう。これが大きな原因です。それなら、その原因を取り除くべく、しっかりと理論立てて説明し、改善と強化をする。「自分は大丈夫」という自信を感じていただく(まずプロフェッショナルからの太鼓判を押す、次に実際の良い体験をする)。その上で、会見での受け答えやクライシス対応などのテクニックを導入すると、全てが身となり、必ずや結果につながるのです。それだけビジュアルイメージとは他人に与える印象だけでなく、本人のメンタリティに与える印象と影響が大きい訳です。


例えば、非常に重大な事柄の記者会見場、周囲は皆ダークスーツでシリアスな装い。なのに、自分一人だけ日曜日に自宅で来ているようなカジュアルな服装で席に着かされたらどうでしょう?まったく気にもせず堂々と発言でき、諸々の質問に対して冷静に対応できるような人はまずないでしょう。例えいたとしても1000人に一人位なのでは?と思いますし、多分ビジネスパーソンではないタイプの方ですね。


これからも分かる様に、人間とは、人の視線にさらされることに緊張感を抱きます。それは良しにつけ悪しきにつけ。自分は人に見られても大丈夫。そういう自信が持てれば、平常心を保つことも容易になり、さらに見られる準備もできている余裕があれば、もともと持った高い能力を発揮し、いつも以上にその場で繰り広げられる諸々に対応できるのです。


そう、まずは人前に出て、見られることが大丈夫なご自身のアピアランスの準備をすること。目的にフォーカスし、理論的に、そしてきちんと理解を深めながら行う。そこに成功体験を重ねる。これがまずビジネスシーンにおけるイメージで左右されがちな場面で戦うための体づくりのようなものです。そして、その上にメディア対応知識という武器、テクニックというその使い方を加えてゆくことで、より強力な力を発揮できるようになるのです。


体力のない人に、泳ぎ方の知識や早く泳ぐ為のテクニックやハイテクの水着を与えたところで、オリンピックの優勝などあり得ないのと同じこと。まずは、ご自身が自信を持つことのできる基礎体力・基礎筋力と同じいみとなる「トップとして人前に出て自信を持てる」自分の準備から全ては始ります。これは、日常レベルのご自身のあり方を意識してみることから始めても、確実にブラッシュアップできるはず。秋に向けて是非ともご自身のイメージ体力を上げ、そこに乗せるべきさらなるテクニックの揺るがない土台を作ってみてください。

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