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不動産

第5回 「しがらみ」を捨てて、今まで付き合っていた会社を見直し、整理する

売れる住宅を創る 100の視点

前回、申し上げました様に2010年の不動産業界は「 勝ち組 」と「 負け組 」が完全に2分化されてくると危惧しております。

「 勝ち組 」は財閥系や独立系超大手ディベロッパーと、中堅ディベロッパーで「 実需 」( 実際の需要で購入者が住むもの )
向けマンションを分譲している会社くらいだろうと予測致します。

「 負け組 」になりそうなディベは常に供給している物件に全く新企画がなく、そして魅力のない物件を、営業力のみでマンション
や建売住宅を分譲している会社に多いです。このまま、続けていけば、大手や準大手ディベロッパーも2010年には倒産になる
可能性が大です。一昨年、昨年と倒産したディベはほとんどがその傾向の物件でした。

さて、今回も皆様の会社( ディベロッパー )が「負け組」になって倒産しない様にするにはどうしたら良いかを
私の経験を含めてお話致します。



まず言えますのは『 「しがらみ」を捨てて、今まで付き合っていた会社を見直し、整理する 』事です。

私が現在、設計監修やコンサルティングをしている中堅ディベではもう実際に上記の事を行なっています。
現に私に設計監修やコンサルティングを依頼してくる事がその証拠です。

そのディベと付き合い始めた頃に設計図書を見て設計者として感じましたのは、「 メーカー 指定 」がかなり多いのです。
理由を建築担当者に聞きますと「今までずっと上司からの指示です。理由は分りません。」との回答でした。

この事を社長に直接、御聞きしましたら、びっくり致しましてその後、社長自ら真相究明され、
その建築部門の上司を退社させました。



マンションの設計図書に「メーカー指定」を書き込みますと工事費は絶対に上がるのです。1社指定ですので、
メーカー同士の競争の原理が働かず建設現場に納入される金額が高くなるのです。

しかし、矛盾していますが、メーカーを3社程度指定する事は大切です。理由はゼネコンが利益のみ優先して、
価格が安いだけのメーカーの部材等を使用する事を阻止する為なのです。

この事は私が大学を卒業して最初に入社した「松田平田設計」の1年生研修の時に教わりました。
研修の講師である上司が「設計者はメーカーの1社指定は絶対に行なってはいけない。各々の部材の
一流メーカー3社の社名を特記仕様書の「メーカーリスト」欄に書き込み、更に同等以上と書き加える事。」
と教えてくださった事は未だに耳に残っており、実行しています。



次に捨てる「 しがらみ 」は設計事務所の選定です。設計事務所の良し悪しがまず判るのは、先程の「メーカー指定」が
1社の事務所はお付き合いを止めた方が良いです。次にマンション用地を持ち込んで設計の仕事を請ける設計事務所は
要注意です。理由はマンション用地を持ち込んだ事で仕入れたディベより設計事務所の方が発言権が強くなるからです。

この様な設計事務所は、ディベの「設計基準書」を遵守しない事が多く、なかにはゼネコンの指定までしてくる設計事務所が
見受けられます。こういう設計事務所はディベに隠れて裏で何をしているかの想像が付きますので付き合わない事です。



その次に捨てる「 しがらみ 」はマンション用地を持ち込んで、設計・施工の仕事を請けるゼネコンとの付き合いです。
この場合もマンション用地を持ち込んだゼネコンの方の立場が強くなり、如何に工事費が安くなるかのマンション設計をし、
ディベの「設計基準書」はほとんど無視して工事を始めてしまいます。その物件が売れなくても何の責任も負いません。

私は「東急設計コンサルタント」在籍時に数回、数社のディベからゼネコンの用地持込、設計・施工の物件の「設計監修」を
依頼された事が有りました。その経験から申し上げますと「設計監修者」というディベの建築担当の補佐的存在が居りませんと、
用地持ち込みゼネコンの発言力が強く、工事費の話しばかりで商品企画はおざなりになり、売れるマンションにはならずディベ
にとっては何のメリットも無い状況になってしまうのです。

最近はゼネコンが持ち込む用地は広いのがメリットで、立地環境や利便性は良く有りません。
事実、ゼネコンが用地持込んだ物件は竣工時に現在でもかなり売れ残っています。



最後に捨てる「 しがらみ 」は広告宣伝会社です。ディベは設計監理費や建設工事は厳しくネゴしてきますが、
「 広告宣伝費 」に関しては査定せずに代理店の見積書の金額を直ぐに承認してしまいます。

私の経験から言いますと広告宣伝会社も3社程度呼んで「コンペ」させると良いと思います。3社の中の1社は結構良い
「広告宣伝」のコンテ( 台本みたいな物)を提案しますので、実行される事をお奨めいたします。物件毎に毎回「コンペ」
するのが良いと思います。

私の経験から、以上の「しがらみ」を早急に見直して、マンションや建売戸建を分譲すれば「勝ち組」に残れると思いますので、
1日でも早く実行して下さい。


次回のコラムは『 マンションは「投資」には向かない時代である。』というテーマでお話致しますので楽しみにして下さい。

以上

碓井民朗     

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第6回 マンションは「投資」には向かない時代である次のページ

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