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製造業

第239号 改善の潜在威力

柿内幸夫─社長のための現場改善

 じつは私はいま、この文章はアフリカのザンビアのホテルで書いています。証拠といってはなんですが、ザンビアに私がいる写真を載せます。
 それにしても、少し前はザンビアで写真を撮ったり、原稿を書いたものを瞬時に皆さんにお知らせするなんて全くできなかったことが、今では簡単にできます。世の中の変化ははやくて止まらないですね。

kaki239-1.jpg

 さて、「ナゼ改善が必要か?」というテーマの中で、今回も引き続き「経営を支えるから」についてお話しします。

 1. 世の中の変化は止まらないから。
 2. 工場の中に変えられないものはないから。
 3. 人を育てるから。
 4. 経営を支えるから。

 まず前回までの内容を少しまとめましょう。これまで、現場改善をいくらやっても、大きな問題は解決できない。そう思っている方は多いけれど、決してそうではないという私の考えをお話してきました。

 現に、私の指導先でも大きな結果が出た会社がたくさんあります。改善にはそういうすごい潜在能力があるのですが、その結果をより確実に出すやり方について、今回はお話しします。

 私が改善コンサルタントとして現場に行く場合は、社長にも現場に来ていただきます。理由は、私と一緒に改善をしたり、あるいは実行された改善を見てもらうためです。なぜなら、実はそれがとても大切な点だからです。

 そこで、最近にK社で起きた改善の事例をご紹介します。

 K社では精密な測定機器を作っていますが、組立工程でなかなか精度が出せませんでした。その結果、完成品に時間がかかってしまい、コストが上り競争力が失われ始めていたことと、急に売れた場合に生産が間に合わず、機会損失をするということもありました。

 しかしありがたいことに、その職場の皆さんが組立の精度を出しやすい立派な治具を作ってくれました。

 まだまだ改善しなければいけないことは残っているものの、かなり組み立てやすくなって、二割程度のスピードアップができました。そして社長や私に現場で発表して下さり、目の前で実演してくれました。

 このプレゼンテーションを聞いた社長はとても喜んで、そこにいた皆さんをほめちぎりました。しかしその後で私に「柿内さん、あの改善どう思う?」と聞いてこられたので、私は「治具の改善は社長がほめられた通り素晴らしいですが、あれはやはり、設計に問題があると考えます」と答えました。

 K社長も同様に考えていたようで、早速設計を変えるという方向で考えが一致しました。しかし、だからといって、設計の人を呼びつけて「設計が悪いからすぐに改善しろ!」と命令しても、なかなか動いてくれないでしょう。

 そこで、設計の人に現場に来てもらい、あのプレゼンテーションを再びしてもらったところ、ありがたいことに設計者も同様の思いを持ってくれました。

 その結果、隠れていた設計の悪さが一気に顕在化し、設計部全体でそれらの潜在的な悪さを直すことができました。すると、多くの製品で組み立てが容易になり、生産性と品質を同時に、そして大幅に向上させることができたのです。

 この話は改善の一つの性格を物語っています。それは、改善をすることができた背景には、一回でできないとか、やり難いなどの不便が存在しているということです。そして、それを社長がしっかりと見抜いて、上手に上流の設計工程に改善をバトンタッチしたのです。

 ところで、なぜ設計が動いたかというと、二つ理由があります。一つは製造部門が既にかなりの努力をしていたという事実があったからです。製造部門が何もしないで、ただその作り難さから設計に文句を言ったというのでは、なかなか組織は動きません。

 そしてもう一つは、社長の存在です。生産現場の人たちは、ずっと前から設計がしっかり変わってくれれば助かると思っていたけれど、実現できずにいたのです。やはり、社長が気付いて全体最適の立場で、設計に指示したことが効いています。

 すなわち、社長も、設計も、製造も一体となって根本的な問題を解決すれば、経営は良くなります。

 改善の現場に社長が行って、改善状況を見て、そこで改善の背景にある大きな問題を発掘する。こういうプロセスによって、より広いレベルで共通の改善テーマを見つけることができるのです。

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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