他社の流動比率を見るときの注意点

M&A(企業の合併買収)や業務提携などの際に、対象企業の貸借対照表を見て流動比率を検証するときには注意が必要です。
流動比率が160%以上で経営分析の観点から短期支払い能力が「優良」と評価されたとしても、財務状態の安全性に疑問が生じることがあるからです。
M&Aや業務提携の場合、経営成績や財務状態を良く見せて、企業価値を高く評価してもらいたいという思惑が加わります。
例えば、M&A対象企業の場合、業績の伸びをアピールするために、売上を前倒しで計上した結果、売掛金が膨らんでいることがないか注意しましょう。
買収後に売上債権の回収が滞り、予期せぬ資金繰り悪化を招くリスクがないか慎重に評価する必要があります。
また、業務提携先の場合、利益率をよく見せるために在庫を過大計上していないか、在庫の変動状況を確認しましょう。
M&Aや業務提携の場合、直前に見た目の決算数字を良くしようとする傾向があるため、会計操作が行われることが考えられます。
損益計算書を操作した結果、相手勘定科目である貸借対照表の売掛金や在庫が一時的に過大に計上されて、流動比率がよくなりすぎている事例も見られます。
社長としては、デューデリジェンス(投資対象の価値やリスクを評価するために行う事前調査)で、過去3期分の財務データに異常値がないか検証することが重要です。
M&Aの財務数値を信用しすぎていませんか?

























