「上手な話し方」
◆仕事を円滑にすすめる「コミュニケーションのスキル」◆
5回にわたって「聞き方」について話して参りました。今回から「話し方」についてお話いたします。
あなたが話すときを思い浮かべてください。話す時には、目の前のひとりに、もしくは多数に、または見えない相手に(電話の時)話すという状況があります。どれも最初に重要な共通項があります。それは何だと思いますか?
それは聞き手に「この人の話を聞こうと思わせる意欲を引き出すこと」です。
意欲を何で引き出すか?
聞き手が判断するのですが、ほんの少しの時間で、まだ話をはじめていない段階で決められてしまいます。それは、あなたの身だしなみのや所作が大きなポイントです。
身だしなみは、おしゃれと違って、皆さんがご存知のように相手本位です。自分の好みを入れるスキマはありません。身だしなみの三大原則は「清潔」、「TPO」、「控え目」です。
「清潔」はいかなる職種の人にもあてはまります。貸与される制服の数の違いがあったとしても、いつも清潔さが漂う私でお客様の前に立ちましょう。
「TPO」は「Time 、Place、 Occation」で時と場所と状況を考えて装うことです。いつも~でなければいけないというのではなく、どんな時もお客様の立場にたって判断をすると間違うことはありません。
最後に「控え目」ですが、なぜこのことを意識するの?と考える人がいらっしゃるかも知れません。皆さんは「軸足をお客様に置く」という言葉を聞いたことがおありかと思います。言葉通り主役はお客様です。脇役であるあなたが主役のお客様より目立ってはいけないですね。ですからアクセサリーもしかりです。
以上の三点が整ったとき、お客様は「感じの良い方だ。どんな話をするのかな」と聞き手になる準備のスイッチを入れようとします。「入れようと」の意味は、まだスイッチは入っていません。スイッチを「入れる」ためには、さらに話し手の所作や笑顔が必要になります。
所作は一言で言うと、キビキビです。背筋を伸ばして軽やかに歩きましょう。腕が前後に左右共にバランスよく振れていますか?立った姿勢の時、肩の位置が前屈になっていませんか?壁に体をつけた時、後頭部、両肩、お尻、かかとが壁と接していますか?何気なく動く人と前述の個所のそれぞれに気をつけて動く人とでは、印象にかなりの差が出ます。座って話すときも同様です。背筋は伸びていますか?アゴは上がりすぎていませんか?イスの座り方はいかがでしょう。深く座ってしまうと、そのつもりがなくても威張った印象を与えてしまいます。
さて、もうひとつ重要なのが表情です。最低ラインとして、口角の上がった口元が必要です。これは男性もぜひ気にしていただきたいです。瞬間の印象が断然良くなります。
研修の中で、可能であれば私は参加者の笑顔のアップを撮影していただきます。そしてすぐにその場で画面の笑顔を見た本人にコメントを求めます。自分で意識した笑顔が何割できていたかを聞くと、ほとんどの人の答えが5割から7割の間です。笑顔のつもりとその結果にはかなりのギャップがあるのです。例えばテストをして100点の答案用紙が返ってくると思ったら50点だった。一番びっくりするのは本人です。これと同じですね。
この笑顔までの一瞬の積み重ねが、聞き手の心に届き、「感じの良い方だわ、どんな話をされるのか」というスイッチがここで初めて「入る」のです。