仕事術
第91回「スマホで簡単VRゴーグル」
ニュースでもよく見聞きする「VR」(Virtual Reality/バーチャルリアリティー)。本連載で取り上げるのも3回目になりました。
直近では“
第88回「VR/ARに続くMRとは?」”で最新状況をお伝えしましたが、360度全方位から取り囲まれるような立体映像を用い、仮想的に現実を体験することで、時間の節約、費用の節約、安全性を確保しつつ、危険回避訓練など、様々な分野で活用が始まっています。
具体例としては、自宅に居ながら海外旅行気分を味わう、コンピューターグラフィックスで描かれた航空機内で乗務員の訓練、設計図を基にした建築物の事前確認など。もちろん、用途は無限で枚挙に暇がありません。読者の皆さんの業務でも、アイデア次第で威力を発揮するに違いありません。積極的に利用を検討する価値があります。しかしながら、3D映像を用いたVRの効果を、文章で読んで理解するのは不可能というもの。そこでおすすめしたいのが、スマートフォンを用いた“簡易型VRゴーグル”での体験です。
■簡易型VRゴーグルとは?
一口にVRゴーグルといっても、コンピューター機能を内蔵した高度な専用機から、スマホを流用する簡易タイプまで様々。映像の品質や視野の広さなど、クオリティーの観点では専用機が優れていますが、体験なら「スマホ流用」タイプでも充分に可能です。今回は、具体的な製品と、コンテンツ例をご紹介しましょう。
スマホを流用するVRゴーグルは、ネットショッピングサイトで「VRゴーグル」と検索すると、3千円~1万円前後で多数見つかります。
今回は、日本の大手メーカー「エレコム」の製品の一つ「
P-VRGSB01BK」(実売価格は5千円前後)を例に、使い方をご紹介したいと思います。
VRゴーグルは、左目用と右目用のレンズを持ち、虫眼鏡のようにスマホの映像を拡大して見る機能を備えています。そう、肝心の映像をスマホに任せることで、低価格でVR体験ができるという訳です。誰もが所有しているスマホを流用した上手いアイデアと言えます。
VRゴーグルは沢山製品化されていますが、違いはレンズの性能(視野が広く周辺部までピントが合っている製品は、3D映像の品質も良く疲れにくい)や調整機能(ピントや目の幅には個人差がある)などです。ちょっとVRを体験したい…という用途なら、安価な製品でも良いでしょう。少し興味を持って映像を鑑賞したいなら、高性能なレンズときめ細やかな調整機能を備えたタイプから選びましょう。
今回ご紹介するエレコムの「
P-VRGSB01BK」は、上質なレンズを搭載して高画質で、ピントも目の幅も無段階で調整が可能です。さらに、ヘッドバンドはハードタイプで、頭部にきちんと固定すると、スマホを装着して重くなったゴーグル本体の重量を受け止めてくれるので、重量感も緩和してくれます。さらに特筆すべきは、ゴーグル部分をハネ上げられること。周囲の状況を確認したい際も、ヘッドバンドはそのままで済むので、スピーディーかつ正確に元の装着状態に戻って映像を見ることができます。
■実際の手順
1. スマホで映像を選択して再生する
映像はYouTubeで視聴可能
2. スマホの映像をVR(2眼/立体視用)に切り替える
立体視用の2眼映像に切替
3. スマホをゴーグルにセットする
4. ゴーグルを頭部に装着し、レンズを通してスマホの映像を見る
■コンテンツの入手方法は? 何が見られる?
コンテンツは、動画ならYouTubeで「360 VR」などのキーワードで検索すると、たくさん見つかります。ダイビング映像ではサメのいる危険な水中を、ジェットコースターは高さやスピード感を体験できます。音楽ライブ映像も人気で、有名アイドルグループの映像も視聴可能。多くの映像は立体の360度視に対応していて、頭の向きを変えると、スマホのセンサーが検知して映像もスムースに切り替わるので、その場に居合わせたかのような臨場感が得られるのです。
他にも、360度VR映像コンテンツ専用のサービス(アプリ)や、対応ゲームなどもいくつかあり、多くは無料で利用できますので、実際にあれこれ体験してみてください。
■弱点もある!
一点、現在のスマホを流用したVRゴーグルの欠点は、操作が難しいこと。スマホをゴーグルにセットしてしまっているので、画面にタッチすることができません。アプリによっては、頭の動きでカーソルを移動させ、画面に表示されたボタン(ポイント)を選択できるものもありますが、専用機と大きく異なるポイントですのでご留意を。
とはいえ、数千円で体験できるVRゴーグル。皆さんの業務や、提供するサービスの質や効率をアップするアイデアが見つかるかもしれませんので、是非お試しを!
■さいごに ~5G時代にVRが開花~
360度、見たい方向が見られるVR映像は、全天球状の映像を伝送し、視聴者が見たい方向の映像(一部)を切り出すように表示しています。今後、VR映像でも、我々が既に体験している4K以上の高精細を実現するために、8K以上の高精細度で撮影/制作して伝送することになるでしょう。
現時点では、インターネット網を通じて8K映像を伝送するのは困難ですが、既に携帯電話網は4Gの数十倍の伝送速度が期待できる「5G」へと向かっていて、2020年に東京で開催される世界的なスポーツイベントに向かってインフラ整備も進む見込みです。
「5G」が身近になれば、VR体験は、現実と区別のつかない高品位なモノへと進化し、生活、サービス、そしてビジネスを大きく変えることでしょう。
未来を先取りする意味でも、今、VRの体験をお勧めします!
【製品情報】