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- 第2回 MIPで下請けを脱する(その1)
先回に続き、私のロングセラー商品づくりのメソッド「MIP」(新市場創造型商品)の全体像と、中小企業にこそMIPが必要だという説明を続けます。
そこで今回は、私の指導先の建設工事会社・株式会社丸高工業の事例を紹介します。
というのも、私の新著「30年売れて儲かるロングセラーを意図してつくる仕組み」の出版を記念して、先月、出版元の日本経営合理化協会の主催で「出版を祝う会」が開かれた際に、会にご参加された丸高工業の高木一昌社長が、とても感動的なスピーチを披露してくださったからです。(というわけで、先号コラムにおけるMIP理論の表の説明はのちの号でいたします)
ちなみに、この出版記念パーティには、これまで私のメソッドを実践し、素晴らしい商品を生み出してこられた「同志」とも言えるゲストの方々が、ご多忙の折にも関わらずたくさんお越しくださいました。
「同志」と申し上げた意図は他でもなく、
・30年売れ続けるようなロングセラー商品をつくる
・そのために今までにない新たな市場を創造する
この2つを実践しておられる方々のことです。
そしてご参加者の皆さんが、ご自身のMIP体験を入れ替わり立ち代わりでスピーチしてくださったのですが、どの話も生々しく学びの多いものであり、このコラムでいくつかご紹介したいと思ったのです。
今回は丸高工業の高木社長のお話を選びました。
*
丸高工業は、読者の皆さんと同じ中小企業であり、MIPの実践により自社独の強みを発揮する独自商品を開発し、価格の決定権をもつ経営ができるようになった会社です。
大手ゼネコンの一次下請けとしてビルの耐震補強、内装・外装のリニューアルを請け負っていましたが、「下請けから脱するために、自社の強みとなる強力な技術・商品が必須」と、私のもとに相談に来られました。
初めてのコンサルティングで私は、
「長く売れ続ける強力な商品は、新しい市場をつくる商品だけです。新しい市場を開拓した先駆者は、後発の100倍の確率で成功します」
と、申し上げました。
「これまで御社は優れた技術力でライバルがいても仕事をとってこられました。しかし、既存市場での奪い合いは多大なる販促費で利益をけずります。御社に必要なのは、〝今はないが、出たらみんなが欲しくなる〟技術や商品です。これがあれば、売り込まなくても長く売れ続けていきます。」
これを聞いた高木社長はアタマを抱えたそうです。
「私が身を置く業界の常識では、考えもつかなかった。言われたことを言われたとおりに完璧にこなす。これがライバルに勝つ唯一の方法だと考えていましたから、競い合わないで勝つ方法があるなんてびっくりしました。しかし、〝今はないが、出たらみんなが欲しくなる〟技術や商品なんて、どうやって見つけるんだ…」
さて、丸高工業はどんなMIPを生み出したか─ 続きは次号をお読みください。