脳卒中、心臓疾患。日本人の死亡率のうち、30%が「がん」。そして、同じくほぼ30%が、「脳卒中」と「心臓疾患」を合わせた数です。
いずれも血管系の病気ですね。「動脈硬化病」とも言えばよいでしょうか?
細かいようでようけど、いわゆる脳卒中には、
・脳梗塞(のうこうそく)
・頭蓋内出血(ずがいないしゅっけつ)
とがあります。
脳梗塞はさらに、脳塞栓(のうそくせん)と脳血栓(のうけっせん)とがあり、
・脳塞栓は、心臓などでできた大きな血栓が脳血管に流れてきて詰まるもの、
・脳血栓は、脳血管自体に動脈硬化があって、そこに血栓が生じるもの、
とされています。
一方の頭蓋内出血も、
・脳を守る膜であるくも膜と軟膜の間に出血するもの(くも膜下出血)、
・脳の実質内に出血するもの(脳出血)とがあります。
大きな血のかたまりのせいで、脳血管がつまったり、出血による血のかたまりが、脳を圧迫したりして、いずれも脳の機能を破壊してしまいます。
その結果、半身不随や言語障害などが生じる恐い病気ですね。昔は、脳卒中のことを「中風」(ちゅうふう)と呼んでいました。中をあたると読んで、風にあたるという意味です。
この「風」は、東洋医学でいう、暑、風、火、湿、燥、寒の六気と呼ばれるもののひとつ。
風 → 気の流動
暑 → 温度の上昇
湿 → 湿度の増加
燥 → 湿度の減少
寒 → 温度の低下
火 → 温度の異常上昇
という意味で解釈します。
これがカラダ内部に起こると、六気が六淫となり、病の発生原因となります。
また、それぞれの気は、
風 → 肝
暑 → 心
湿 → 脾
燥 → 肺
寒 → 腎
火 → 心
というように各臓器との関係が深いのも特徴です。
「風」さらに、他の気とも結びつきやすく、風寒、風湿、風燥、風火などとなって、他の気を連れてカラダ中をウロウロ動き回ることもあります。
気の流動を表す「風」。これは、言って見れば、「自然界の流れ」そのものを表します。
気候や環境の変化、運気といったものも含めてもいいかも知れません。自然の流れが乱れたとき、あるいは、自然の流れにその人が逆らったとき、六気は六淫となり、各臓器にさまざまな症状を引き起こす要因となります。
「かぜは万病の元」とは、ここから来た言葉なんですね。
…そこで、「中風」。
東洋医学では、カラダに発生した「内風」によって、脳障害を引き起こされると考えられています。
この風は、どこからくるのかというと「肝」です。肝が陽性になりすぎると、他の器官や臓器を圧迫するかのように「風」を引き起こします。
その竜巻のようなエネルギーはやがて、脳に達し、血液の凝集などを伴って、脳組織を破壊してしまうのです。
肝にたまる感情の代表は「怒り」「イライラ」「焦り」。蓄積された感情は、エネルギーとして突如として体内に「風」を引き起こします。
そしてその風が、たまたま外部の自然の流れと反対方向で対峙したりすると、大きな衝突を起こし、カラダの中の乱気流がいっそう増すわけです。
脳卒中にしても、心筋梗塞にしても、恐いのは、いつおこるかわからない発作ですね。
ガツーンと内側から殴られたような衝撃。この内なる衝撃については、その時の食事の影響も重要視されるようになりました。
両発作に共通しているのは、発作後、カラダの腸内に強烈な腐敗臭がする、ということだそうです。これは、腸内の強酸性状態を示しています。
おならをがまんすると、いつしかそれが消えてしまうことって、体験したことありませんか? これは、腸内に発生したガスを血管が吸収してしまうからです。
でも、異常に酸性、腐敗性のあるガスを血管が一気に吸収したらどうでしょう?
カラダ各部の血管は、攣縮(れんしゅく)し、ふだん動脈硬化にさらされている血管などは、その攣縮に耐え切れずに破れてしまいますよね。
さらに、腐敗物質が腸内で一部吸収されてしまうと、それは肝臓へと一気に流れ込みます。
肝臓には解毒作用があるのですが、そのキャパをこえてしまうような場合、反発してブロックをかけます。このブロックの勢いが、カラダの中の気の流れ=風を起こし、それが血液、体液の乱流を増大してしまうわけです。
そういえば、ジャパンを率いた長嶋監督も、サッカーのオシム監督も、アウェイの地で食の変化がはげしい上に、プレッシャーやイライラのつのる状態にさらされていました。
急激な食の変化による血管の攣縮。肝の風を引き起こす「怒り」「イライラ」「焦り」。この2つが相まってしまった時、脳卒中のリスクは異常に高まるということ。
ぜひ覚えておいて下さいね。