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製造業

第230号 原点回帰すると改善レベルが飛躍する

柿内幸夫─社長のための現場改善

 下の写真は、私の自宅付近のジョギングコースで撮った桜です。季節の変化がこのようにはっきり感じられるのは嬉しいです。

kaki230-1.jpg
  さて、今回も引き続きレベル6についてお話しします。

 レベル0:ダンゴ生産

 レベル1:工程内の流れ

 レベル2:工程間の流れ

 レベル3:工場内の流れ

 レベル4:工場間の流れ

 レベル5:お客様への流れ

 レベル6:一気通貫の流れ

 さて、前回のコラムで、Sさんのお困りに対して直接的にお答えができなかったので、今回は少しだけですが、お答えしたいと思います。

 Sさんのお困りとは、レベル6となると製造業といえどもマーケティングが必要だと書いたことに対して、「急にそう言われてもどうしていいか分からない」ということでした。

 「少しだけ」と言ったのは、レベル6へのチャレンジは最高レベルへの挑戦ですから、どんな方法を取っても簡単なものは1つもないということです。

 ただ、これまで全くやったことがないマーケッティングから始めなければならないとなると、困ってしまうというお嘆きであると考えて、製造業がこれまでやってきた「モノづくりの変革の方からレベル6に近づく方法」をご提示いたします。

 それは現在作っておられる商品のスペックを技術的な側面や管理的な側面から研究して改善して誰もがマネできないダントツのレベルにすることです。

 ここでいうダントツレベルのスペックとは、重量、サイズ、耐久性、スピード、賞味期限、エネルギー消費量、使いやすさ、おいしさ、かっこよさ、などいろいろなものがあると思いますが、お客様にとって魅力的になる方向に商品の価値を上げていくことを考えて実行するのです。

 それも前よりはいいというような小規模レベルではなく、ダントツです。最低でも半分とか二倍ということでしょう。これまでにお客様が見たこともないモノを作れば、それはお客様のご要望に応えたといえると考えるからです。

 それを実現するためには、現場にみんなが集まって現物を前にしてワイワイガヤガヤと議論をすることが有効なのではないかと思います。

 担当者それぞれが別々に見て後でメールで報告し合うのではなく、実際に顔を突き合わせていろいろなことを言い合う、完全に昔のスタイルでやるのがお勧めです。

 KZ法でも取り上げていますが、現場・現物には不思議な力があり、みんなで指をさしたり手で持って触ったりしながら声を出して話し合うと、いろいろな形で相乗効果が生まれるのです。

 メールでの情報交換では絶対に生まれないすごい発想が得られ、できない理由よりやる方法を考えるようになります。

 こういうことは日本のお家芸であったと思います。それがなぜ以前のようにはできなくなってしまったのか?! 私の勝手な推論ですが、社長が現場でそれをやらなくなっているからにちがいないと思っています。

 会社が大きくなり、コンピューターを介した分業がさらに進んだりする中で、ナゼかみんなが忙しくなってしまいました。自分に与えられた仕事を一生懸命にこなすあまり、みんなが集まって一つのことを生み出すという本来の仕事がおろそかになっていると感じています。

 「たくさん売るのは営業の仕事、安く作るのは製造の仕事」のような分業が当たり前にまかり通っていますが、たくさん売ってほしいのは製造です。

 だって売れなければ工場を動かせません。安く作ってほしいのは営業です。だってせっかく見積もりを出させてもらっても、高かったら買ってもらえませんから。

 そう考えるとみんなで一緒に商品のスペックを磨くのは当たり前の話だと思います。「6」という最高レベルにチャレンジしようとすると仕事のやり方が昔に戻るというのは不思議な感じもしますが、やはりモノづくりの原点はお客様の要望を知ることと、それを実現するモノづくり力の両方を合わせることにあるのですから当然ともいえるのでしょう。

 その原点復帰を実現する仕事は社長に行っていただきたいを思います。どうぞ頑張って下さい。いつも応援しております。 

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

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