人事制度の基礎を支える等級制度とは
等級制度も、その特性によって大きく3つに分類することができます。
職能資格制度
職務遂行能力によってレベル分けされた職能資格区分にしたがって格付ける
職務等級制度
担当職務の内容によってレベル分けされた職務等級区分にしたがって格付ける
役割等級制度
会社より与えられた役割責任によってレベル分けされた役割等級区分にしたがって格付ける
賃金管理研究所が、賃金制度の基本に置く「責任等級制度」は、役割等級制度の1つです。会社より与えられた職制上の責任範囲(期待役割)に基づいて、等級定義を定めています。
今なお職能資格制度の導入割合が一番多いようなのですが、ジョブ型雇用への関心の高まりとともに、職務等級制度(管理職中心)や役割等級制度への移行を検討する会社が増えています。その理由の1つが、職能資格制度が長期間にわたって能力が積み上がっていくことを前提とした仕組みであるため、能力の低下や発揮能力の変動には機動的に対応できないこと、特に「降格」や「降級」が行いにくいという点にあります。これに対し、仕事基準の職務等級制度や役割等級制度であれば、適正な人事権行使の範囲で等級の見直し(降格・降級)をすることも可能です。
3つの類型の中で、中小企業の基本システムとして有用なのは、「責任等級制度」に代表される役割等級制度です。役割責任のレベルの違いで等級を大括りに区分したうえで、等級ごとに相応の賃金範囲を設定しますので、同一等級・同一職位の中でも成績格差や貢献度の違いを反映させやすいという特徴があるからです。
「長期的な安定雇用を就労管理の基本とするなかで、人員配置を柔軟に行いながら人材の活用・育成を図っていく」、そんな中小企業の組織マネジメントと相性の良い人事の基本システムが役割等級制度であり、「責任等級制」賃金制度なのです。
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