今回はNHKの大河ドラマでおなじみの江(ごう)ちゃんにまつわるものを見つけたので、ご紹介します。上は滋賀県長浜、下の写真は福井県福井で撮影したものです。同じテーマでも少しずつ表現が違っているのがおもしろいですね。
現在は「最強のモノづくり」におけるレベル3の「工場内の流れ」についてお話しをしております。
レベル0:ダンゴ生産
レベル1:工程内の流れ
レベル2:工程間の流れ
レベル3:工場内の流れ
レベル4:工場間の流れ
レベル5:お客様への流れ
レベル6:一気通貫の流れ
ところで、前回のコラムでは株式会社永沢工機における、「情報系」のレベル3のモノづくりをご紹介いたしました。
今回は、前号の文中に登場した「まとまる台車」について、一体どういう考え方に基づいた道具なのか、ご説明いたします。
というのも、ほとんどの会社において状況は同じだと思いますが、工場の中には非常にたくさんの情報があります。
生産計画や出荷計画、あるいは部品調達計画のように計画だけでもかなりの数があり、それらが工程ごとに分割されて発行されていることもありますから、合計すると膨大な情報が流れていることでしょう。
しかし、それらたくさんの情報もその元はただ一つ、すなわち、すべてがお客様から頂いた注文情報をベースに作られる派生情報だといえますね。
会社では、多くの部門が役割分担をして仕事をしています。例えば、生産するべき商品の情報をもらった部品調達部門は部品表に従い部品を発注し、部品が納入されると入荷処理をして棚にしまいます。
しかし同時に、他の商品用の部品も取り扱っていますから、棚にはいろいろな部品がごちゃごちゃな状態で置かれていて、必要になった時に探すのが大変です。したがって、今現在でどの部品が納入されていないかといった問い合わせが来ても、すぐには答えられません。
こういう状況に覚えがある方は多いのではないかと思いますが、ナゼこうなるのでしょうか?もちろん理由は分かっています。
同時にたくさんの商品を作っていますし、それぞれの商品毎にたくさんの部品が必要ですし、かつたくさんのメーカーに発注していますから、調達作業は非常に複雑になっているからです。
しかし、部品単位で見ないで商品単位で見てみれば、これは一つの商品なのですから、常に“1”です。
そして、注文が取れた時点でその商品に必要な部品はすべて決まっていますから、発注の段階で、その部品が「何月何日に必要な、どの会社の何の商品」という情報を付けておいたらどうなるでしょうか。
例えば、それを“A”としてみましょう。そして部品が集まり始める前に移動式台車を用意して、それに“A”という表札と部品表を貼り付けておきます。あるいは、発注の際に、部品番号に“A”を加えておくと更にいいですね。
そして、“A”にかかわる部品が納入されたら、必ず“A”の台車に入れ、同時に台車に貼ってある部品表に「 レ」チェックを入れます。
すべてにチェックが入れば、全部品が揃ったということですし、その部品はすべて、台車に乗っていますから、探したり集めたりする必要はありません。そのまま現場に運べばいいのです。
あるいは、生産開始時期が近くなった時に、台車に残ったチェックの状況から未納部品の内訳を見て、事前に様子を確認する必要がありそうなところを知ることができたりします。
この仕事のやり方の特長は、管理的な作業が極めて少ないということです。現場にある台車を見ると順調かそうでないか、もしそうでないなら原因は何か?が一目で分かるということです。
要は、一つひとつの商品の作成は毎回全く同じ手順であるはずなのに、その一つの商品という組み合わせが使われず、部品単位で調達作業が行われると、せっかく繰り返しの仕事ができるにもかかわらず、いつも全く初めての仕事のようなやり方になってしまっているということです。
したがって、部品単位で考えず、“1”の商品単位でまとめて考えるので、「まとまる台車」というネーミングが生まれたというわけなのです。
以上、読者の方にすんなりご理解いただけるよう、まずは調達の部分から説明を始めました。次回は「まとまる台車」の具体的な現場での話をいたします。
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