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後継者

第2回 事業継承とファミリーガバナンス

欧米資産家に学ぶ二世教育

「子供にビジネスを継いでもらいたい」と多くの同族会社の経営者は願う。
しかし能力のないもの、適性でないものが長に立てば会社はダメになる。

経営学の大家ピーター・ドラッカーは
「出来の悪い者を働かせてはならない。凡庸な者、怠惰な者に働くことを許せば、
一族でない者の不満が鬱積する。有能な者は辞め、 残る者はへつらう。」
と警鐘を鳴らす。

少子化の折、事業継承の選択肢は「子供へ」から拡がらざるを得ない。


米国の場合は会社売却、或いは自社株は子供に継承させるとしても経営はプロに任せる選択肢がしばしば取られる。
「親、先祖の想いのある事業を売って、申し 訳ないと思わないか」聞いてみた。
あるオーナーは「売却した資金でファミリーオフィスをつくり、資産運用だけでなく家族史を編纂し、親が熱心だった
若手画家の応援をしている」。ファミリーを支える事業はないけれど、家族の価値観は継承されているという。


欧州の方がより日本に近く、同族内での継承は多いように見受けられる。
だがその際も「子供へ」だけでなく、ファミリー内というケースが目に付く。
兄弟、従 兄弟たち何人もが後継者候補として同族経営を支えている場合の方が適任者の間口はずっと広がる。
しかし複雑な人間関係の葛藤、血縁間の争いが内紛に発展する心配は?

「ガバナンスがしっかりしていれば大丈夫」という答えが返ってきた。
それは会社レベルの企業統治だけでなく、後継者決定の方法と規準、場合によっては
一族郎党を含むファミリーの意思調整や決定の明確化、即ちファミリーガバナンスを意味している。


ファミリーガバナンスをぜひ検討してほしい。
今、世界中で同族経営に関する調査研究が盛んに行われ学問的にも体系付けられてきている。
頻繁に行われる会議には世界各国からオーナー経営者が集まるのだが日本からの参加者は少ない。
そうした会議で必ず検討されるのがファミリーガバナンスである。



榊原節子     

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