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第58回 資産防衛に海外を利用

欧米資産家に学ぶ二世教育

金融危機が憂慮されているスペイン、3カ月でGDPの50%相当もの資金流出があったと報道された。

昔から世界の資産家たちは政変、革命、金融危機、懲罰的な税制を逃れて海外を利用してきた。フランス革命前夜 貴族達はイギリスの銀行に資産を移動させた。ナチの手から守るため、ロスチャイルドはチェコの製鉄所を当時覇権国であったイギリスの保険会社の子会社にした。そのためナチは手が出せず、その後の共産党政権も賠償金を払い続けたという。

当然ながら投資面でも資産家は海外に目を向ける。ヨーロッパ各地の価格差を利用しての取引は14世紀の文献にも見られ、近代的な投資は古くから国際的であったと言っていいのではないだろうか。

海外の超富裕層はそもそもグローバルな人たちなのである。幼少のころから外国の寄宿学校に通わす、世界の何か所かに自宅があり、親戚も何カ国かに分かれていたりする。結果、自ずとグローバルなネットワークが構築され、外国の言葉や商習慣にも慣れている。

他方、日本の富裕層はまだまだグローバルとはいえない。一部を除き、外国語に堪能ではなく、国際的なネットワークを持ち合わせていないのが現状だ。

とはいえ凋落する日本に嫌気がさし、更に日本の金融危機に備える意味あいもあり、海外資産移転件数が増えている。が、言葉ができず、海外の投資環境になじみの薄い日本人は詐欺にあいやすい。詐欺とまではいかなくても海外投資アドバイザーを自称する人達のなかには自身経験のない素人に近い人だって多い。結果トラブルに巻き込まれたり、事後の管理で問題を抱えてしまうことになる。

日本の教育システムに幻滅し、或いはより積極的にグローバル人材に育てあげるべく幼少時から子弟を留学さる動きがみられる。しかし、きちんとした指針、頼れる海外人脈もなく留学させたって、「海外に出してみたけれど、学んだのは遊びだけ」ということになりかねない。

海外ネットワークは是非構築して欲しい。自身海外とのやりとりがなく、海外滞在の経験がない人でも留学生や研修生の世話などでもネットワークをしっかり作っている人は多い。海外に資産を移すつもりなら、報告書の形態、税務のことなどしっかり勉強をする必要がある。海外投資経験の長い友人からの情報も有用だ。

日本人自身もっと積極的に海外投資を行って、是非とも1500兆円と云われる個人資産を増やしてほしい。

人口が減る日本にとって投資は有効な将来への活路となり得る。富裕層は一般の人に比べて情報が豊富に入ってくるのだから、世界の動きに先々を読むことができる立場にいる。

先進国では一様に成長に陰りが出てきている。アジア地域への富や力のシフトが見られる。各国とも富裕層への増税基調にあり、タックスヘイブンをはじめとする節税スキームに対する引き締め、透明性への動きは顕著である。そうした状況下では資金の逃避先というより、より積極的な意味で、つまり有望な投資先としての海外の有用性がますます顕著になってきているのではないだろうか。

 榊原節子 

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