昨今、ゴルフファッション業界では驚くべきことが起こっていることを皆さんご存知でしょうか?
それは女の子のファッションや若い男の子たちの奇抜なファッションではありません。50~60代の男性ゴルファーのウエアーが大きく変わってきているのです。どの様に変わってきているかと申しますと、一昔前までは絶対に着ることがなかったような派手なズボン、ベルト、帽子などが爆発的に売れているのです。
派手というのは、どの様な色かと申しますと、ピンクの蛍光色のベルト、ズボンも蛍光色で、さらにドクロのマークが入ったもの、ポロシャツは若者同様に派手な色使いで、たくさんの横文字が所狭しとプリントされている物などなど、“本当に売れているの?”と聞き返したくなるようなデザインの商品ばかりなのです。
実際、私がゴルフ場に行った時にも本当にここに記したような派手なファッションをした人たちを目の当たりにしてきました。正直、驚くには驚いたのですが、そこはなぜかゴルフ場という非日常空間の影響があるためなのか?想像していたほどの違和感は感じませんでした。
この辺りのことをアパレル関係者に尋ねてみたところ、普段の生活では決して着ることはできないウエアーも「ゴルフ場だから許される」という共通の認識がいつの間にか出来上がったらしいのです。
しかし、昔からゴルフこそ紳士のスポーツと言われ、下手もしたらルールよりもマナーが厳しく、特に服装についてはゴルフコース側で細かく指定がでるほどの規制が存在したはずです。そして何より、たとえコースが許したとしてもゴルファーのお互いの認識として、紳士としての服装の暗黙の了解が存在すると思っていました。が、どうやら全く私の認識不足だったようです。
調べていくと、ここまで変化が起きた裏には、どうやら子供や孫の存在が大きく関係していることが分かりました。
最近ではゴルフ料金の低料金化、ジュニアゴルファーへの開放などの傾向から、親子、そして孫まで含めた3世代でゴルフをする家族が出てきたそうなのです。この様な現象にファッション業界が(ゴルフメーカーでない)が目をつけ、3世代で同じメーカーの服が着られるようなコンセプトのゴルフウエアーを発表したところ、おじいちゃん達も(50~60代)が一緒に洋服屋さんにいき、今までは決して着ることがなかったような柄の服などを着るようになったそうなのです。
私はこの様な現象にとても興味深く思いました。
と言いますのが、きっかけは確かに“子供や孫と同じブランドの服が着たい!”、という発想があったにせよ、嫌であれば服ぐらい自分が似合うと思う服を選ぶはずです。にもかかわらず、大きく変身と言ってよいほどの派手な服を着はじめた理由は、元々「変身」をしたかったのだと思います。人の心理の中に「安定」を願う反面、「不安定・変化」という欲求も誰もが持っているのです。
なぜ、人はスポーツにあれだけ熱狂するのでしょう?
“いやー私は阪神の大ファンだから”という人もいるでしょが、それは違います。
人がスポーツに熱狂するのは、どうなるかわからない「不安定」な要素があるからなのです。どんなに阪神が好きでも毎回勝ち、内容までわかっていたら、やがて面白くなくなってしまいます。この心理と同様に人は誰もが変わりたいという心理を持っています。いつも同じ色の服、自分が信じる年相応の色やデザインばかりでなく、“自分が普段と違う色を着たらどうなるんだろう?”という不安定さを求めることは、実は心理学的に考えてもとても自然なことなのです。ただ、そのようなことが分かっていたとしても、普段、会社や家の周りでは、この様な恰好(変身)はすることがなかなかできません。そこでゴルフ場という限られた空間の中だけという条件で変身しているわけです。
ただ、この誰もが持っている変身願望ですが、実は願望を持とうが、持っていまいが人は変わります。肉体も、心も、周りも、社会も常に変わり続けています。問題はどう変わるか?なのです。
ファッションで変身するのも1つ、自分の技術、知識で変身するのも1つ、方法は色々とあります。誰もが変身していくのです。 いい変身をしていきましょう!!