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第36回 日本にいながら国際的視野を

欧米資産家に学ぶ二世教育

小学生からの英語教育を巡って様々な声があがっている。「日本人全員が外国人と喋る必要はないから」、「子どもが将来どんな職業につくかわからないではないか」、「しゃべることより、しゃべる内容を充実させることが大切だ」等など。しかし、日本及び日本人に対するグローバルな評価はといえば、あまりの言語力不足、生きた英語が使えない人が多いため、不当に低いといわざるを得ない。実力を十分にアピール、伝えられていないのが現状である。ただ単に英語力が貧しいが故に多大な不利益こうむっているなど口惜しくてならない。

企業の売上高のみならず従業員数でも海外比率が半数を超える企業が増加している昨今、早期からの生きた英語教育を是非とも始めて欲しい。エリートを目指せさせるなら、もう一か国語くらいはマスターさせたいところである。昨今は子弟に中国語の習得をさせる人も増えてきた。

たとえ一生外国人と話す機会がなかろうと、「国際的視野」を持つことは大切なのだ。経済、政治、金融、農業、何一つ海外の影響を受けない分野はないのだから、日本を超えて考える力がないと判断を誤ってしまう。まして経営者となる次世代を育てるには、世界の中での日本の位置付け、それをしっかりと踏まえた組織や企業の立ち位置に絶えず意識をはせる必要がある。今は若者総じて「内向き」と言われるが、鎖国メンタリティーを云々している余裕などないはずだ。

世の中の流れが急加速している現在、5年前に世界旅行したからOKというわけにはいかず、刻々と変化する情勢に絶えず目を配り、それを咀嚼して自分なりのレーダーに磨きをかけなければならない。

実際に海外に行って学ぶ・住む・仕事をすることを勧めたい。しかし日本にいながらでも子ども達に国際的な経験、交流の機会を作ってやることはできる。例えば留学生をホームステイさせること。仲良くなれば一生の付き合いになる。留学生や、在日外人の世話、週末に自宅に呼ぶなど、お手軽版だっていくらもある。

海外の学生になら奨学金といったってそれほど多額な出費にはならない。私の知人は旧共産圏諸国にごく早い段階から奨学金を出しており、その人たちが今や国を背負う年齢に達し、訪日して彼のもとを訪ねてくるそうだ。「実に色んな情報を持ってきてくれるんですよ」と喜んでいた。所有するアパートの一室を常に留学生に無償で提供している人もいて、家族ぐるみの国際交流を通して確かな目でグローバルな動きを見据えている。日本に居ながらにしての国際人である。

ネットやスカイプを使って気軽に世界と交流ができる時代である。外国人のみならず海外居住邦人の書いたブログやメルマガには独特の視点がある。SNSも今や国際的である。国際力を磨く機会はいくらも提供されているのである。

日本語のみでのコミュニケーションには限りがある。やはり手段としてある程度の英語力が欲しい。気負い、てらい、カッコ良くとか上手にとかは無用だ。多少ギコチないほうが面白いではないか。親子で「ブロークン英語OK」と思いきって始めてみよう。

榊原節子

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