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第114回 シリコンバレー視察レポート 2

高島健一の「社長のメシの種」

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■テスラ・モーターズ(Tesla)
 日本経営合理化協会のシリコンバレー視察ツアーで、テスラ・モーターズの工場を見学してきた。
 テスラは、2003年に「ペイパル」という電子決済サービスの共同経営者だったイーロン・マスク氏などの出資によりスタートした、電気自動車(EV)製造・販売会社で、2010年には、1957年のフォード以来53年ぶりに自動車会社として株式を公開、2008年にスポーツタイプの「ロードスター(Roadster)」(10万ドル=1,000万円)の販売を開始し、アメリカのセレブ層に人気となり、限定2,500台が2012年に完売している。
 
 現在は、アメリカで昨年から販売している2車種目の4ドアセダンの電気自動車「モデルS」を、我々が見学した工場で生産しており、日本でも来年春に販売開始が予定されている。
 
 電気自動車はエンジンなどの内燃機関を持たないため、工場も電気製品を製造する工場に似ているのではないかと漠然と思っていたが、実際に工場見学をしてみると、鋼板・アルミ板のプレス、組み立て、塗装という流れは自動車工場そのものだった。
 
 この工場は、GM(ゼネラルモータース)がトヨタのカンバン方式を導入し、低コストで高効率な工場を作ることを目指して1984年に設立した「NUMMI(ヌーミ=New United Motor Manufacturing)」という、トヨタとの合弁で作った工場だった場所で、2009年にGMが破産・国有化されて合弁が解消された後、2010年の、トヨタとテスラによる電気自動車の共同開発を行う業務提携契約を受けて、テスラの工場として使われるようになったもので、鋼板プレス機械の中には、当時使われていたものも少し残っていた。
 
 モデルSは今年1~3月期に4,900台を生産、この夏から販売が開始されたヨーロッパでも、ノルウェーで9
月の新車販売台数(一般的なエンジン搭載車を含め)で1位となるなど売れ行きが好調で、年間2万台の生産を目標としている。
 
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 電気自動車のベンチャー企業は、フィスカー(Fisker Automotive)が破産、コーダ(CODA)オートモーティブも5月に破産申請を行うなど苦戦しているが、テスラだけは2013年第1四半期決算に創業以来初の黒字化を達成するなど順調で、これはテスラがトヨタやドイツのダイムラーと技術提携し出資を受け、リチウムイオン電池はパナソニック製を使うなど、大手企業との関係を深めながら、事業基盤や財務内容の強化を図ることに成功したためと考えられる。
 
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 また、モデルSはフル充電で最高300マイル(483km)の走行が可能、専用のスーパーチャージャーで行えば45分でフル充電(電気代も500円程度)できるなどの実用性が高いことも売れている要因だ。
 
 モデルSはアメリカで7万~10万ドル(700~1,000万円)で販売されており、シリコンバレーの成功者にとってはフェラーリ、ポルシェ、ベンツ、BMW以上にステイタスとなっているようなので、来年は日本でも注目されるかも知れない。
 
 

 
======== DATA =========

●テスラ・モーターズ
http://www.teslamotors.com/jp/


●ペイパル
http://www.paypal.jp/

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