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人事・労務

第54話 深夜残業を禁止し、早朝残業を充実させる試み

「賃金の誤解」

 伊藤忠商事は、社員の働き方を夜型から朝型に変えるため、深夜の残業を禁止し、早朝の時間外勤務手当を増やす新制度を始めると発表しました。
 
 長時間の残業は睡眠時間を減らし、疲労を蓄積させるなど働く人の体調を悪化させ、業務能率を悪くします。しかも高額の割増賃金が発生するため、不必要な残業は経営を圧迫します。さらに長時間残業が恒常的に発生するような職場では、今後、残業時間の削減を進めていくことが強く求められることは明らかです。
 
 同社の平成24年度の平均残業時間は1人当たり月40時間ほどであり、新制度導入で月2~3時間減らす目標で、来年3月までの勤務状況を見ながら正式導入するか決めるとのことです。
 
 本来、日々の仕事は就業規則で定められた勤務時間内に終わらせるべきであり、残業しないで済むように段取り良く進めねばなりません。伊藤忠商事の場合、所定内勤務は午前9時から午後5時15分であり、やむを得ない場合であっても、夜8時以降の残業は事前申請が必要な「原則禁止」、10時以降は電気を消して「禁止」にすると定め、それでも必要な場合には翌朝「早朝残業」させるという内容です。
 
 そして、始業前の朝5~9時に早朝残業する社員には、25%割り増しする通常の時間外勤務手当に加え、早朝に働くメリットを感じられるように、午前5時から同9時までの早朝勤務の割増率を50%(残業手当を支給しない管理職の場合には25%の割増手当を支給)と定めています。さらに8時前に仕事を始めた社員には、バナナやヨーグルトなどの軽食を無償で提供するとのことです。
 
 実験的であり、唐突な内容のようですが、月の労働日が21日として、もしも毎晩8時まで残業できると解釈すれば、5時15分から8時まで、毎日2時間45分の残業は可能であり、月にして58時間までの残業は許されることになります。
 
 平成22年4月1日施行の改正労働基準法で1カ月60時間を超える残業については、大企業の場合、時間外勤務の割増率「50%以上」と定められました。そのように考えれば、今回の早朝残業の割増率50%はしごく健全な判断であり、無理のない数字ではないでしょうか。
 
 長時間残業は悪であり、必要であれば翌朝、能率よく残り仕事を片付けるほうがマシとの考え方はかねてからの私の主張です。時間を効率的に使い残業時間を減らす試み、伊藤忠商事にはオピニオンリーダーとして是非とも制度を定着させて欲しいと思います。

 

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