日本経営合理化協会の視察ツアーでブルネイに行って来た。ブルネイの正式名称は「ネガラ・ブルネイ・ダルサラーム」といい、「平和な土地ブルネイ国」という意味で、一度も植民地になったことがなく、一度も内乱が起きたことがない平和な国だ。
この国の経済を支えているのは、1967年から採掘が始まった石油(16.6万バレル/日)と天然ガス(126億立方メートル/年)で、これがGDP(2011年211億USドル)の72%、輸出額(原油:48.0%,天然ガス:44.7%)のほとんどを占めている。
1929年4月5日に、サイクリングをしていたロイヤル・ダッチ・シェルの社員がセリア川近くで休憩していた時に、川が石油が混じっているような色をしていたので辿って行き、南シナ海の海岸周辺を採掘したところ、陸から38mの地点から石油が出たそうだ。
現在モニュメントが立っているその場所に行ったが、近くの海岸に打ち上げられている流木は黒く、海の色も心なしか黒っぽく見えた。周辺(セリア地区)一帯には、多くの石油や天然ガスの大型採掘施設が立ち並び、「ノッキング(首振り)ドンキー」と呼ばれる小型の石油汲み上げ装置も772ヶ所で動いていた。
石油、天然ガスなどはロイヤル・ダッチ・シェルと三菱商事が共同で開発しているので、輸出先は45.7%が日本で、以下韓国16.8%、ASEAN諸国14.7%、オーストラリア10.5%と続いており、両国関係は良好だ。
■エンパイヤ・ホテル
我々は国王がオーナーの、以前は迎賓館だった7つ星といわれる「THE EMPIRE HOTEL(エンパイヤ・ホテル)」に泊まり、ゼネラルマネジャーのACESON氏にお話を伺うと共に、スイートルームを始め施設の見学もさせてもらったが、クリントン大統領夫妻(当時)や中東の王族などが宿泊した屋内プールや専用エレベーターの付いた最上級のスイートルーム(660m2、一泊100万円)にお泊りになった方の好意で、その部屋でまとめのセミナーをやることができ、素晴らしい経験をさせていただいた。
このホテルは客室が580室で、その他にジャック・ニクラス設計の18ホールのゴルフ場、450席あるシアターレストラン、3つの映画館、ラグーンプール、室内プールなど8つのプール、ボーリング場、テニスコート、スカッシュコート、ジム、スパ、サウナなどの施設があるが、メインロビーや室内は豪華絢爛で、王族になった気分を味わえた。
ホテルの経営面から見ると、営業開始から赤字が続いていたが、2008年秋のリーマン・ショック後に欧米人客が減少したことをきっかけに、欧米志向から発展しているアジア、ASEAN地区にターゲットを変更、退職者を補充しないという方策で1,200人いた従業員を870人に圧縮、仕入れ価格も値下げ交渉し、昨年はじめて9%の利益を出している。
石油などの収入があるため、税金、医療費、教育費が無料で提供され、80%が公務員というブルネイ人は南国気質も手伝い、「困ったら王様が何とかしてくれる」という意識があるため、意識改革は容易ではなかったようだ。
エンパイヤ・ホテルは日本の余裕のある企業も参考になる事例だと思われる。
======== DATA =========
●The Empire Hotel and Country Club
http://www.theempirehotel.com/
所在地:Jerudong BG3122,Negara Brunei Darussalam,
Tel: +673 241 8888
Fax: +673 241 8999
宿泊料金:18,000円~(サービス料込)