今年の7月に開催されましたセンチュリー21レディースに、アメリカからシエラ・ブルックスとう選手を招聘いたしました。
彼女は18歳にしてアマチュアワールドランキング4位という文句なしの実力者なのです。
そんな彼女がフロリダから日本に向けて出発するという数分前に大トラブルが発生したのです。チェックインは出発の2時間前に済ませ、荷物も預け、セキュリティーゲートも通過し、最後の搭乗ゲートでそのトラブルが起きました。
空港の職員の説明によるとチケットに問題があり、「搭乗できない」と言われたそうです。
私も話を聞いた時には耳を疑いました。チケットに問題があればチェックインできません。にも関わらず彼女は搭乗目前にしてチケットに問題あり、と言われ飛行機に搭乗を拒否されたのです。
そして彼女の目の前で飛行機が飛び去った僅か数分後に”チケットに問題がない確認が取れました”と空港職員に言われたそうです。
本当に信じられない話。
ただいくら文句をいっても飛行機は飛んで行ってしまい、(彼女のゴルフバックを積んだまま)しかも彼女は日本に翌日に到着しなければルール説明ミーティングに参加できていないので失格になってしまいます。
そこで私と連絡をとり、とにかくロスアンジェルスまで一度飛んでもらい、そこから日本の航空会社の夜中便で飛び、明け方に東京に到着したのです。朝5時に空港に到着し、新幹線で静岡県の三島駅に移動し、そのままゴルフコースに来てルール説明を受けてもらいました。
しかも彼女は日本に着いたものの彼女のゴルフクラブはまだ手元にありません。彼女はレンタルクラブを使用して練習ラウンド(本番前にコースをプレイして学ぶ)をしたのです。
おおまかに説明をしましたが、この状況を理解して頂けたでしょうか?
自分が生まれて初めて海外でプロの試合に出場しようと大勢の人から見送られ出発しようとしたら搭乗を拒否され、ひどい扱いを受け、自分の大事なゴルフバックも手元にない状況。しかも自分には何の落ち度もない。
ただ私は彼女が日本に着いてから一緒にいたのですが、彼女はただの一度もこの不運な経験の文句を言ったり、他人にいかにひどい目にあったかなど話したりすることはありませんでした。ただ目の前にある大事に試合に全力を尽くしたい一心で、我慢していたのは
私にはよく分かりました。不満を言うのは試合が終わるまで後回しにしていたのです。
皆さんが彼女の立場だったらどうでしょうか?自分に100%落ち度のないことでひどい目にあい、自分の大事な仕事を邪魔されたにもかかわらず全くこの不運を嘆くことなく目の前のことに集中できる。本当に強いメンタルの持ち主です。
結果、この姿勢があるからこそ彼女は見事に8位タイという成績を収めました。TVでも大々的に取り上げられました。
日本に到着した日、睡眠もろくに取れずボロボロになりながら到着した三島駅。数日後の同じ三島駅で、大勢のファンたちに囲まれるという素晴らしい体験をしたシエラブルックス選手。
彼女は”夢のような素晴らしい経験をした”と言葉を残してフロリダに帰ってきました。良いことも、悪いことも起きたはずなのに、彼女にはいい思い出しか残っていないようです。生きていいればアンフェアーなことも理不尽なこともたくさん起きます。
我々の人生を楽しむ極意を18歳の子から教えられた気分でした。皆さんもシエラのメンタリティーをぜひ参考にしてみてください!