最近、若い世代(デジタル世代)の間で「レトロ感覚」の商品やお店が人気になっている。
レトロブームは1950〜80年代のファッション、音楽、映画、ゲーム、インテリアなどへの注目を高め、古着では昭和、平成のフリル、レース、レトロ柄のワンピース、音楽では歌謡曲が見直され、インテリアではレトロな家具や雑貨を組み合わせて自分だけの空間を演出する人が増えている。
これらは過去のカルチャーを再解釈したTikTokやInstagramなどのSNS動画や画像コンテンツを通じて広まっているが、デジタル世代の若者にとっては新しいものとして新鮮で魅力的に映るようだ。
2023年の世界音楽ストリーミング再生は、前年比22.3%増の4.1兆回と初めて4兆回を超えたが、世界のストリーミング再生の1/4を占めるアメリカでは、映画、テレビ、Netflixなどのドキュメンタリー番組の影響で過去のアーティストに脚光が当たっている。
昨年7月に公開されたNetflixの「ワム!」「ジョージ・マイケル」のドキュメンタリー番組は公開後3週間に全世界の音楽ストリーミングを21.2%急増させ、この2人の「クリスマスソング」を最初のリリースから37年後に初のクリスマス1位にした。
■レコードカフェ「RECOCO」
音楽CDも知らないデジタル世代の若者に最近「レコードカフェ」が人気となっている。
カップルなどでアナログレコードを聴きながら過ごす「レコードカフェ」は、韓国では20〜30代に人気だが、日本でも渋谷に「RECOCO」というカフェができている。
お店に入ると入場料1,200円とドリンクなどの料金を支払い、若い人は使ったことのないアナログレコードの取り扱いや注意点のビデオを見てからレコードプレイヤーが置かれている席に案内される。
席にはレコードプレイヤー1台にヘッドフォンが2つずつ置かれているので、カップルや友達同士で同じ音楽を聴きながら過ごせ、地下に置かれているレコードから1度に3枚ずつ借りて聴ける。(混雑時は90分制)
私は平日の昼過ぎに行ったが、若い男女で満席となっていて驚いた。
「レトロブーム」と聞くと人口が多い過去を懐かしむ世代が中心と思われるが、今の状況はデジタル世代が新しいものとして映った「レトロ感覚」をSNSなどを通じて広めたものだ。
デジタル化により生活が便利で快適になった一方、SNSやリモート会議に追われる状況もでてきており、アナログ時代の温かみを求める人が増えているのかも知れない。
「レトロ感覚」は「デジタル世代」が自分たちの個性や価値観を表現する手段や、デジタルにない新しい癒やし感覚として活用しているもののようだ。
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●Luminate releases 2023 year-end music report 10 Jan 2024
https://www.recordoftheday.com/on-the-move/news-press/34-global-streaming-growth-uplift-luminate-releases-2023-year-end-music-report
●レコードカフェ「RECOCO」
http://recoco.cafe