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第48回 リモート社会

社長のメシの種 4.0

 ノーベル文学賞作家・川端康成の代表作「雪国」は「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」で始まるが、世界中を不安に陥れている「新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)」と、この蔓延が引き起こした「コロナショック」という株価暴落や景気後退というトンネルを抜けると、そこには今までとは全くの別世界(雪国)が展開すると考えている。
 
 前回書いたように、令和元年に起きた新型コロナウイルスの発生とブレグジット(英EU離脱)の決定は、後から考えればその後の世の中を大きく変えるきっかけになる出来事と考えているが、その兆しの一つが「リモート社会」だ。
 
■遠隔医療
 今の時点では感染拡大の抑え込みに成功したように見える中国では、感染の中心地となった湖北省・武漢に、10日で合計2,600人を収容できる重症患者受け入れの火神山医院、雷神山医院の2棟を建設し、2月3日から稼働を開始したが、ここでは通信機器メーカー・ファーウェイ(華為技術)が通信キャリア・チャイナテレコム(中国電信)などと連携して、病院内5Gネットワークを整備し、遠隔医療も行われた。
 
 高画質スマートビデオ会議システムにより、北京の専門家が現場の医療スタッフを補助する遠隔診療体制をとり、患者の直接接触を減らしながら、近距離での観察を行えるビデオカメラを搭載した医療用ワゴンや、薬を病室に届けるロボットなども導入されたとのことだ。
 3月10日に習近平主席が武漢市を視察の際にも、この火神山医院を訪れている。
 
 5Gネットワークの利用は在宅勤務を行う企業向けにも利用され、ファーウェイやテンセントは、100人以上が参加できる会議システムを無料開放している。
 
■遠隔授業
 中国では春節の休日を延長し、2月中旬に通常始まる2学期を3月末まで休校としたが、「授業は止めても学習は止めない」というスローガンを掲げ、全土で2億7,000万人いる生徒・学生にオンライン授業を開始している。
 
 中でもアリババが提供する「釘釘(ディンディン・DingTalk)」は、2月以降、中国のiPhoneアプリのApp Storeで1位となっており、オンライン授業では300都市以上で5,000万人の生徒、学生が利用し注目されている。
 中国のスマホアプリでは1位だったアリババのライバルであるテンセントが提供するメッセージ・サービス「微信(WeChat)」(ユーザー11億人)を抜いた形だ。
 
 「釘釘」にはWeChatにはないLINEでお馴染みの「既読」機能があるため、生徒には「オンライン授業中に気が抜けなくなった」と不評で、アプリストアで最低評価の1をつける生徒も多く、3月10日にアクセス増によりサービスがダウンした際はSNSで生徒が喜ぶ書き込みが話題となった。
 
■リモートワーク
 最近の調査によると、中国全土では1,800万社以上、3億人以上がリモートワークをしているとされているが、「釘釘」は在宅勤務でも1,000万社、2億人が利用しており、従業員が新型コロナウイルスへの感染の疑いがないか検査するため、毎日体温を報告させる健康カード機能や、ビデオ会議で朝礼を行う時に女性社員が化粧をするのが面倒だという声を取り入れたAR(拡張現実)美顔機能なども追加されている。
 
 テンセントもWeChatの企業版「企業微信(ワーク・ウィーチャット)」を無料開放、動画アプリ「TikTok(ティックトック)」のバイトダンスも企業向けサービス「飛書(Feishu・フェイスウ)」を中小企業に3年間無料提供すると発表、ファーウェイも「WeLink(ウィーリンク)」を提供するなど競争も激しい。
 
 中国では新型コロナウイルスの流行により、リモートワーク(在宅勤務)とオンライン教育で6億人近い人がリアル中心からネット中心に移行しており、トンネルの向こうの世界が垣間見れるものとして注目している。
 
 
 
======== DATA =========
 
●釘釘(ディンディン、DingTalk)
 
●企業微信(ワーク・ウィーチャット)
 
●飛書(Feishu・フェイスウ)
 
 
 

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