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- 第66回 スリープテック
睡眠の質を先端技術を使って改善する機器や技術は「スリープテック」と呼ばれ、機器の世界市場はスマートウオッチなども含めると、2026年には2019年の3倍となる320億ドル(3兆3,000億円)に拡大する見通しという。
これらには、アップルウォッチなどのスマートウォッチの睡眠を記録する機能や、フィリップスが11月に発売した心地よい目覚めや入眠を促す「光目覚まし時計」(1万4,960円)、寝具の西川のセンサーを内蔵したマットレス「エアーコネクテッド」(14万800円+990円/月)などがあるが、スピーカーなどの音響機器で有名な「Bose(ボーズ)」社も新たな安眠イヤホンを発売した。
■Bose・Sleepbuds II
スピーカーなどの音響機器で有名な「Bose(ボーズ)」社が10月29日に発売した「Sleepbuds II 」は、ノイズマスキング機能によって周囲の騒音を打ち消し、気持ちを落ち着けるサウンド(音)で使用者を快適な睡眠に導入するという商品だ。
そのため音楽を聴くイヤホンとは違い、通常の音楽を聴くためには使用できず、通話もスマホの音声アシスタントとの会話もできないので、イヤホンというよりは周囲の騒音を遮断してリラックスできる音が流れてくる耳栓だ。
「Sleepbuds II 」はスマートフォン専用アプリ「Bose Sleep」と連動させて寝る時に装着するが、小さく耳にフィットする形状のため、横向きで寝ても気にならず、外れにくくなっている。
音響心理学や神経学などを元に開発した「sleeptrack」という特殊な音源を再生することで、入眠の妨げとなる外部の騒音やパートナーのいびきといった周囲の雑音を気にならなくしたり、ストレスや緊張の緩和するリラクゼーションサウンドなど、合計35種の音を収録している。
リラックスさせるのに役立つ田舎道、浜辺、海岸沿いの遊歩道などの情景を連想させる15種類の自然環境や、ストレスや緊張を緩和させる、雲がゆるやかに漂う空や、穏やかな夢をイメージさせる10種類の音などが用意されている。
ボーズ社が米コロラド大学と共同で実施した臨床研究では、21〜65歳まで55人の被験者が10日間検証に参加、入眠までにかかる時間が平均32.5%減ったという(有効データ50人)結果が出ており、被験者の主観による評価では86%が「入眠時に効果的」と判断している。
ボーズはこのコンセプトの商品を2018年に発売していたが、その時の製品は内蔵電池が充電完了しないなどの不具合が見つかり全数回収となったため、バッテリーが最長10時間使えるようにしたほか、多くの機能を追加するなどの改良を施して新発売したものだ。
私は寝付きがいいので不眠解消に関しては効果検証はできなかったが、飛行機や列車の中で寝る時や、周囲が通常以上にうるさい時などには有効だし、自然音はストレス解消にも役立ちそうだと感じた。
「2020年ヒット商品ベスト30」の6位にアップルの「AirPods Pro」が入っているなど、消音性能を持つワイヤレスイヤホンはテレワーク時代のヒット商品となっているが、ボーズの「Sleepbuds II」は、あえてイヤホン機能を削除して「入眠用耳栓」に特化しているところが、注目に値すると考えている。
======== DATA =========
●Bose・Sleepbuds II
価格:33,000円