「仕事のすすめ方」
◆仕事を円滑にすすめる「コミュニケーションのスキル」◆
前回は、「第一声の第一音目」にこだわることを話しました。私はご依頼をいただくと、「第一声の第一音」から社名→個人名を名乗るまでの『電話テスト』を実施しています。今回はその様子をご紹介しましょう。
何月何日の何時ごろという時間調整後、指定の時間に私が相手の会社の固定電話や携帯電話に電話をかけます。(勿論相手も私からの電話とわかったうえです)いつもと同じように出ていただきます。「第一声」は挨拶言葉(「おはようございます」、「お電話ありがとうございます」、「はい」など)を使っていただきますが、まれに突然社名を名乗る方がいます。あえて突然と書いたのは、自分からの電話で相手が出てくれるのを待っているにもかかわらず、本当に突然と感じます。何故なら鼓膜には聞く準備が要るのです。次の「社名」を聞き取るための準備に必要な音とりとでも言えるでしょうか。その直後会社名が聞こえると、確かに○○会社にかかったと安心するのです。
社名は、挨拶の次であっても一番相手に伝えたい言葉です。ところが無意識に発声してしまうと、○○会社が残念ながら際立つ音声表現になりません。さらに使い慣れているため知らないうちに丁寧さに欠けてしまったり、早口になってしまいます。「確か○○会社と言ったよね」のようなレベルの社名の名乗りになってしまいます。社名は挨拶言葉より上回った声音・声の響き・明るさで、目の前にいる人に話しかけているように名乗ってください。
挨拶言葉と社名の名乗りは、伝えたい意味が違うので「おはようございます」の最後の「す」と社名の一音目の音(まつお株式会社でしたら「ま」です)の間には一拍の「間(ま)」をあけます。この「間」が社名をきわだてるのにとても大事です。一拍の「間」を開けて社名を名乗りましょうとロールプレイングを始めても、私の耳にはその「間」が聞こえてこないのです(「間」がきちんとわかるのは10人に一人位です)。自分が入れたつもりの「間」であっても、相手に感じられる「間」にはなっていません。笑顔をしたつもりでも相手の目に笑顔として映ってはいないというギャップと同じことがこの「間」にも言えるのでしょう。「おはようございます。まつお株式会社」になってしまうと、「まつお株式会社」と聞き取れる相手と「つお株式会社」?と聞こえてしまう相手もでてきます。100%「まつお株式会社」と聞き取ってもらうためには、相手にわかる「間」が必要です。「おはようございます。(間)まつお株式会社」の練習をなさってください。ちなみに相手にわかってもらう「間」は心の中で「イチ・ニ」と数えるくらいがちょうど良いです。
最後は個人名です。個人情報保護法の関係もあり第一声に個人名を名乗る会社は、個人情報保護法のなかった頃より減っていると感じますが、誰が電話をとったのか責任を明白にするという意味では大事です(名乗っている会社も多いです)。名前を入れる・入れないは会社の指示に従ってください。名乗る場合は、責任を持って名乗ることを意識しましょう。社名以上に自分の名前は言い慣れていますので、どの年齢層の相手にも一度で聴きとってもらえるように笑顔で、はっきり多少ゆっくりと言いましょう。また、個人名の後の語尾は上げたり伸ばしたりしません。幼い印象を伝えてしまうのでビジネスには相応しくないからです。
第一声のみの『電話テスト』ですが、思ったよりたくさんの注意点がありませんでしたか。姿を見せることが出来ない電話応対です。相手の身になり細心の注意をして、より素晴らしい「声の出会い」が出来るよう励んで下さい。
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