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戦略・戦術

第177号 160兆円

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 この数字は、「銀聯(ぎんれん)カード」の2012 年の決済総額だ。中国の小売売上高の約半分に相当し、中国国内の累計発行枚数は3 億3 千万枚にのぼる。
 
 都市に住む中国人のほとんどがこのカードを所有しており、利用者の7割が「カード決済が可能な店なら必ず使う」という。世界142カ国・地域で利用できる中国発のこのカードは、買い物で決済すると、即座に銀行口座から引き落とされるデビット方式となっている。
 
 銀聯は、2002 年に中国の国有銀行が中心となり、政府主導で設立された銀行間決済ネットワーク運営会社で、中国国内でカードを発行している銀行は全て中国銀聯に加盟している。
 
 海外も含めて、200 以上の金融機関が銀聯ネットワークに参加しており、わずか10 年あまりで銀聯経済圏を急速に拡大させている。
 
 日本では、三井住友カードと三菱UFJ ニコスがこの銀聯カードを発行している。日本国内の銀聯利用額は、8 月は前年同月比5 割増の140 億円と推定されており、加盟店舗数も約20 万店に増加。訪日する中国人観光客の消費を取り込むために、百貨店、
ショッピングセンター、家電量販店、空港、ホテル・旅館など、銀聯に対応した決済環境を整える小売業が増えている。
 
 日本の小売店などがこのカードを取り扱うには、国内で加盟店開拓をしている三井住友カードやクレディセゾンなどのカード会社と契約を結ぶ必要がある。
 
 売上に応じて小売店がカード会社に払う手数料率は、VISA やMasterCard など他のクレジットカードよりも高めに設定されているが、中国人観光客の平均決済単価は3万円と、他のクレジットカードの3倍も高いため、導入を決める小売店が増加しているわけだ。
 
 また三井住友カードは、国際的なオンライン決済ソリューションを提供する、SBIグループのSBI ベリトランスと提携し、実店舗だけでなくインターネット通販においても銀聯カード決済をスタートさせている。
 
 SBI ベリトランスが運営する中国本土向けのEC モール「佰宜杰.com」では、銀聯カードを使ったネット決済とともに、商品を日本
から直送することで、中国人消費者が安心して日本商品を購入できるプラットフォームを提供している。
 
 尖閣諸島問題に端を発する中国人の反日感情はまだ収まっていないが、安心・安全・高品質を求める中国人消費者は、それらの表向きの行動とは別に、日本製品に対しては高い信頼を寄せている。
 
  国際ブランドとなった銀聯カードの導入をカギに、いかに中国人消費者を取り込むか―。その舞台は、実店舗からネットへと確実に広がっている。
 
 
 
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