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税務・会計

第27号 中小企業の本当の消費税対策~その6~

会社を守り抜くための緊急対策

◆収益構造を図解しておくこと
 ある会社で、うちは、「売っている」のか「売れている」のか、さて、どちらだろうかということが話題になりました。
 この2つは、まさに、収益構造、つまり、売上を上げる仕組みの話です。
 ドラッカーが次のように言っています。
 「実のところ、販売とマーケティングは逆である。同じ意味ではないことはもちろん、補い合う部分さえない。もちろん何らかの販売は必要である。だが、マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである」
 中小企業のほとんどは、売上をどのようにあげているのか、その仕組みを図解していません。社長の頭の中にはあるのでしょうが、それを表現していないのです。だから、何がよくて何が悪いのか、判断することができません。
 営業は、基本的には個人プレーなのですが、会社としての判断基準が明確ではないと、いざというときに固まってしまいます。
 事業承継が失敗する一つの理由として、この収益構造が、社長と後継者で違っていることにあります。
 同じDNAを持つ親子でも、この収益構造は微妙に異なるものです。しかし、何がどう異なるかをはっきりとさせるためにも、現在の収益構造を図解しなければ無理です。
 成功本を読んだひとが成功するかと言えば、なかなかそうならないのも頷けます。成功本を書いた人と読者は、人が違い、人が違えば、収益構造も異なるからです。
 人が儲かった方法がいいと思って真似をしても、どうしてもしっくりこないものです。それを自分なりにアレンジしていかなければいけません。
 同じ事業をしても、儲かる人とそうでない人の違いは、収益構造の違いなのです。
 収益構造の変革の簡単な例としてコピー機の製造販売の話があります。
 コピー機は高額なので、なかなか売れません。しかし、コピー機を販売するという収益構造から、コピー機を使用した分だけカウントして売上を上げるという収益構造に変革したら、コピー機は顧客のもとに置かれるということは変わらなくても、売上は上がったというものです。
 「どのような形で儲けてきたのか」という自社の儲けのパターンをきちんと把握すべきです。売上を追求してきた会社には、複数の儲けのパターンが混在しているものです。
 下手をすれば、営業マンがみな独自の儲けのパターンで行っていることもあるかもしれません。
 これでは会社ではありません。保険ではありませんが、代理店や個人契約をして、各自、自由にすればいいのです。
 同じ事業に、儲けのパターンが複数あるならば、それがこれからの会社衰退の原因と考え、自社に本当にあった儲けのパターンをひとつ絞り込むことです。
 創業当初の会社は、なりふりかまわずという状態が普通であるため、どうしても儲けのパターンが混在することも仕方のないことですが、当初の目標売上を達成した段階から、儲けのパターンを絞ることが経営上必要となってきます。
 よく、「事業の選択と集中」と言われていますが、中小企業は、そんなに多くの事業があるとは思えません。むしろ、儲けのパターンの選択と集中をすべきなのです。
 同じ儲けのパターンであれば事業は複数選択してもいいくらいです。
 儲けのパターンが混在していますと、従業員のエネルギーが拡散し、無駄な時間を使うだけでなく無駄なキャッシュが出て行くものです。
 だから、儲けのパターンが複数ある会社は、大抵、貸借対照表のバランス状態が芳しくありません。総資産が膨れ上がり、その総資産も、経営資源としての資産より、売上を追求したために膨れ上がった資産、たとえば、売上債権、不良在庫、不要になった設備が存在します。
 儲けのパターンは、人間の行動に大きくかかわるものです。人間の行動はそれほど器用には対応できません。それも一人ではなく、複数の人間が存在する会社においてはなおさらでしょう。
 日々、違う行動パターンをとることは、迷いも生じてきます。最後には、何をどうしていいのかわからなくなり、物理的にではなく、精神的に忙しいという日々を送ることになります。
 物理的に忙しい場合には、優先順位をつけることにより解決することが可能です。しかし、精神的に忙しいと感じているときは、時間は比較的余裕があるにもかかわらず、なにもできないという状態が続きます。
 だから、一刻も早く儲けるパターンを整理し、従業員に対して、行動パターンの確立を図るべきです。

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