スーパーやコンビニ、ファーストフード店などが、数年前から新たなサービスとして開始していた宅配事業を、いよいよ本格展開させる動きが目立ってきている。
当初はなかなか採算が取れず、その維持に苦労する企業も多かったが、確実視されている将来の需要を見込み、有店舗の補完的サービスとして位置付けながらも、利益を生むビジネスモデルを模索。ようやく“ 独り立ち“ のメドが立ち、対象地域を広げて本格運用がスタートしたわけだ。
大手スーパー2強のイオンとイトーヨーカドーは、すでに全国規模でサービスエリアを拡大中だが、ネ ットスーパー事業では出遅れ感のあったダイエーが今春からネット利用が苦手な高齢者向けに、カタログ宅配をスタートさせている。
生鮮品や日用品など約500 品目を掲載したカタログを月1回発行。希望者には週に1回、同社から電話して注文を聞き、その際の安否確認サービスも今後検討するとしている。
一方、1年半ほど前から、数店舗で宅配サービスをテスト運用していたマクドナルドも、今期中に東京都内の数十店舗で宅配サービスを導入するなど、全国展開を視野に入れた動きを見せている。
このほか、三越伊勢丹や阪急百貨店、ドラックストア各社も、宅配サービスを開始しており、その競争 は業態・業界の垣根を越えて激化する一方だ。
供給過剰となれば、消費者はより付加価値の高いサービスを提供する企業へと向かう。配達時間やシステムの利便性、御用聞きなどの人的サービス…。どのようにサービス価値を高めれば消費者の支持を得られるのか―。
宅配事業は、消費低迷と低価格化競争により疲弊している各業界の新たな収益源であり、新市場でもある。厳しい環境の中、各社独自のサービスがブラッシュアップされて、新しいビジネスモデルが誕生する兆しが見え始めている。