menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

マネジメント

第81回 『同じ会社で、違う道を拓く』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

商社に入社したFさんは、目指す海外勤務の第一希望地に、南米の「チリ」と書いた。

 普通は、アメリカへの赴任が商社マンの王道と考えるかもしれない。だが、あまり知られていないが、チリは銅、鉄鉱石など、豊かな鉱物資源をもち、日本との貿易取引は盛んな国だ。しかし、支社の規模は、アメリカ支社の数十分の一にすぎない。
 Fさんは「だからいい」と、考えたのだ。

 大所帯のアメリカ支社などに赴任すれば、若造の自分は下積みだ。小規模な支社なら、輸出入実務でも、すぐに手掛けることができるはずだ。
 さらに、チリの公用語はスペイン語だ。大手商社に、英語の達人は多いが、スペイン語となると、使いこなせる人間は少ない。そのうえ、スペイン語人口は世界的には多い。つまり、チリ以外でも広く役に立つ。

 こうしてFさんは、チリの支社に8年間勤務した。その後、いったん日本の本社に戻ったが、現在では、アメリカ支社で責任のあるポストに就いている。

 予想したとおり、小さな支社ではすぐに実務を任され、貿易の腕がみるみる磨かれた。言葉のマスターも計算どおりだった。スペイン語を覚えると、同じラテン系のイタリア語、フランス語もほぼ使いこなせるようになった。
 Fさんは、英語も話せる。大学では、ドイツ語専攻だった。つまりは、欧米系の主要な言語に、ほぼ不自由しないまでになったのだ。

 さらに、小さな支社では、会社の上層部が訪ねてきたとき、新米スタッフが空港からホテルへの送迎などの随行役を務めることになる。
 Fさんは、入社数年で、本社の幹部クラスと接する機会を多く得ることができた。今のアメリカ勤務は、そういう人脈が有形無形にサポートしてくれた結果だという。

 人のいく裏に道あり花の山、と云う株式投資の格言もある。こんなふうに、人と少し違う動きをして、組織内で注目される存在になる道もあるのだ。 

第80回 『顔を見る、顔を立てる』前のページ

第82回 『代替案』次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長が知るべき「人間学と経営」セミナー収録

    音声・映像

    社長が知るべき「人間学と経営」セミナー収録

  2. 会社と社長個人の5大リスク対策セミナー収録

    音声・映像

    会社と社長個人の5大リスク対策セミナー収録

  3. ジャパネットたかた創業者「高田 明の経営法」セミナー収録

    音声・映像

    ジャパネットたかた創業者「高田 明の経営法」セミナー収録

関連記事

  1. 第30回 『状況判断能力と統率力』

  2. 第144回 『会社にとって何がベストか?』

  3. 第116回 『責任をとって、辞めない』

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

  2. 第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

  3. 第219話 少人数私募債の相続対策

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 製造業

    第305号 自社の実力は、モノづくりの6段階レベルで把握せよ
  2. 社員教育・営業

    第27回 「自分の身を守る敬語表現」
  3. 戦略・戦術

    第169話 「今こそデジタル化で固定費を下げよ!」
  4. 社長業

    Vol.30 「生まれて初めて」がありました?
  5. マネジメント

    第52回 経営の多角化への視点~谷口工務店 谷口社長の挑戦~
keyboard_arrow_up