今年1月1日に施行された中国電子商取引法(EC法)により、ソーシャルバイヤー (日本製品をSNSやCtoCプラットフォームなどを利用して販売する在日・訪日中国人)は、大打撃を受けている。中国政府は、越境EC新制度については規制緩和に動いた一方、EC法では代理購入規制をかけたため、インバウンド消費にも大きな影響を与えている。
同法施行前は、このインバウンド需要の目減りを補う形で、正規品の越境ECが伸びると予測されていた。もちろん、今年1月売上が前月比で2倍以上伸びた企業もあるが、半減した企業もあったようだ。EC法では、越境EC事業者だけでなく、商品を大量に仕入れて中国国内で販売活動を行っている、登録証のないバイヤーに対しても登録を義務付けて納税させることに主眼を置いており、ネット上のプラットフォームで販売する際も登録証が必要となっている。
このような市場環境にある中、今年の春節商戦については、概ね良好な結果が発表されている。とくに大阪や名古屋エリアは、大阪大丸心斎橋店が前年比29%増、名古屋松坂屋が前年比38%増と、足元のインバウンド消費の勢いは衰えていない。世界中が中国の成長鈍化に懸念を抱いているが、中国人の個人消費は意外にも堅調な状況である。
訪日客が帰国後、リピーターとして利用する越境ECは、現時点では、まだ大きく成長しているわけではないが、淘汰の時期を経て、正規の越境EC売上は、これから徐々に拡大していくものと見られている。
我々にとってこの越境EC対策は、国外卸し戦略の一角を占める重要な事案である。日本の中小企業が巨大な中国市場にチャレンジすることができる数少ない策であり、いま、その取り組みをスタートさせる最適な時期と言えよう。