こんにちは!
1位づくり戦略コンサルタント 佐藤元相です。
ナオミ 中小食品工場や大手コンビニベンダーなどに、充填というニッチな分野で大きく影響を与えている企業です。創業1972年、本社は大阪府箕面市。客層は中小食品工場、商品は食品の小型充填機に特化し、大阪、東京を中心に全国展開をしています。
今回、コロナ禍で、展示会や飛び込み営業など従来の販売のやり方が通用しなくなり、新規のお客さまと出会える機会が減少しました。しかし、そんな中、小型充填機の引き合いは急増し、売上げを伸ばしました。その大きな要因は、専任のマーケティング担当者を育成しblog、SNSなどを活用した取り組みの結果です。
マーケティング担当の田中成美さんはインターンシップを経て新卒採用で2015年ナオミに入社し、広報を兼任で担当しました。
社内の情報配信について「友達とテーマパークに行きました」とか、「家族でレストランへ行き食事をしました」というプライベートな情報がblogに記されていることに違和感を覚えました。「これは、仕事に直接関係しない。本当にお客さまが求めている情報なのだろうか?」。疑問をもちました。
そこから暗中模索が始まりました。
当時、「小型充填機」というキーワードをGoogleで検索すると、検索結果の順位は1位にランクインされていました。しかしこのキーワードで「お客さまは検索するのだろうか?」と考えました。
そこで、大学の友人にアンケートを採りました。その中の質問で「充填機って知っていますか?」と一文を入れました。回答は全てNOでした。このキーワードは誰も知らない。言葉でイメージできないことを検索するはずがありません。
そこで、田中さんは、「もっと身近な言葉で自分の体験から検索するはずだ」と仮説を立てました。
ジャムを造っている工場の場合、「ジャムの瓶詰め」をもっと効率的にできないか?と検索するはずです。そこで、「ジャムの瓶詰め」を手作業で試しblogに掲載することを考えました。
ジャムを容器から全て、お皿に出しました。スプーンでジャムをすくい、再度ジャムの入っていた容器に移し入れてみました。
そのときの作業の内容や考えをblogに書きしるしました。
また、スーパーへ行き、どんなモノが瓶詰めされているのか?調べてblogを書きました。身近なところに充填した商品があることを見つけ、毎日blogを更新していきました。
しばらくすると、blogの記事に興味をもったお客さまからメールで問い合わせがありました。blogの更新頻度に合わせて問い合わせは増えていきました。
そして、顧客が検索したキーワードやお問い合わせなどの情報が蓄積していきました。
それらを、Googleアナリティクスを使い分析をしました。
・1年前のデータと今年のデータの相違はどこにあるのか?
・先月と今月のデータの相違は?
・全体的にどんな違いがあるのか?
・業界ごとのトレンドや傾向はどうなっているのか?
分析を続けました。
例えば、こんなことがありました。
ある時期に「イクラ」というキーワードで検索されていました。
アクセスが多い地域を調べると「釧路、函館」でした。「最近、北海道の沿岸地域からのアクセスが多くて、Webサイトのイクラのページよく観られているんです」と札幌の営業所に連絡をすると、営業担当からは「北海道はイクラの加工時期が5月と11月だから、11月の生産に向けて検討しているのかもしれません」と考えを教えてくれました。
そこでWebサイトの中で「イクラ」のキーワードを強化しようと考えました。ところが、札幌営業所の担当者は「現在、北海道の人はあんまりネットを使わないみたいです。FaxDMは結構観るみたい。それと、北海道の人は北海道内で商売を完結させたい要望もあるので、札幌営業所の存在を周知してもらえるとありがたい」と北海道の商習慣について考えを言いました。この電話ミーティングで方針が決まりました。
現場のアドバイスから「イクラの充填機の情報」を食品加工工場をリストアップして、FaxDMを発信しました。
当たった!
返信率は5%を越え、とても良い反応がありました。
機会は「データ×現場の声」が創り出す!マーケティング担当の田中成美さんは確信しました。
「蓄積された情報と営業現場の声を活かせばまだまだチャンスは広がる」とマーケティングの可能性を感じたといいます。
このことから、さらに一歩すすめて、マーケティング部と営業部、情報共有の仕組みをつくりました。
1.Webサイトに問い合わせが入る。
2.お客さまのメールはエリア担当に送信される。
3.エリア担当者はすぐさま顧客へ連絡を入れる。
Webからの問い合わせから顧客の興味・関心度合いを把握することができるので、お客さま一人ひとりに合わせた対応が可能になりました。シンプルな考えですが、その対応の早さにお客さまが驚くことも少なくないといいます。
「集客はデジタル」そして「営業はアナログ」。
デジタルマーケティングとアナログのセールス。双方の良さを活かした取り組みは、売上げの向上を図る中小企業にとって新たな一手となるでしょう。