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第195話 「ITでもセカンドオピニオン」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

 医者、法律、税務の分野でセカンドオピニオンの重要性は、浸透してきていますが、ITについても「第三者から意見をもらう」ということは大切です。

 

 顧問先で建設業に携わる会社があります。

 

 工事現場で使う消耗品などを建設会社に対して販売しています。

 

 建設業界はまだまだどんぶり勘定で、例えば、Aという商品を12,500円で販売した場合、得意先(建設会社)からの入金は12,000円で来ることがあるのだそうです。

 

 「端数切捨て」での入金です。

 

 端数といっても、1円、2円の話ではありません。

 

 端数切捨てという行為自体問題なのですが、何が問題かというと、請求金額(売掛金)と入金額が合わないため「経理業務が大変だ」となるわけです。

 

 得意先から入金があったら、売掛金がゼロになります。

 

 これを『消し込み』といいます。

 

 経理の社員さん、パートさんは、常時3名いますが、この方たちがはりついて売掛金の消し込みを行っているのです。

 

 経理の社員さん、パートさんが売掛金の消し込みを行いますが、請求額通りに入金されれば、スムーズに消し込みができるところ、現実は端数が切り捨てられて入金されるため、「この入金分は、あの会社の請求のものだな」という感じで時間をかけて消込作業を行っています。

 

 何せ、得意先は1万社ほどあり、全国に営業所があり、取引件数が膨大なのです。

 

 その消込作業にたくさんの社員、パートがかかりっきりなので、社長としては「もっと効率的にならないか、作業負担を減らせないか?」と考えるわけです。

 

 小口現金の精算と同じように、消込作業もそれ自体生産的な仕事とはいえないのです。

 

「経理部長、何か工夫されてないのですか?」

 

「はい、M銀行が提供してくれる消込システムを使っています。

“この入金は、あの請求分だな”と自動的に照合、処理をしてくれます。

しかし、まだ、システムの精度が高くなく、合致率は、60%程度なのです。」

 

 そこで、私たちのネットワークを活用して、ITの専門家に入ってもらい、まずは現状認識をしてもらいました。

 

 そこで、「何が問題で、どう変えてゆけばよいか」専門家の立場から検証をしてもらったのです。

 

 売掛金の消し込み作業の精度をあげるために分かったことは、

 

①入金口座がたくさんあって、M銀行の口座以外に入金される売掛金については、消込システムが使えないこと

②売掛金の消し込みがうまく行かない、というのは、元をたどると、基幹システム、請求管理システムの設計の仕方、設計思想が原因であること

 

 ①については、得意先の要請に応じて、入金口座を広げてきましたが、今後は、「できるだけM銀行口座に入金してもらうように依頼をかける」、

「新規の得意先については、最初から、M銀行口座に入金してもらうようにする」ということにしました。

 

 ②については、システムの変更/改修を伴い、かなり大掛かりな話になってしまいます。数年後に、基幹システムの変更を予定しているので、その際に現状の仕組みを変更することを検討してもらうようにしました。

 

 ①②いずれも共通しているのは、得意先ないし従業員の要望にできるだけ応えようとして、結果、オペレーションが複雑化してしまった、ということです。

 

 システム構築、改修で大切なことは、ヒトにシステムを合わせるのではなく、システムにヒトを合わせることなのです。

 

 これから、中小企業の経営においても、ますます、IT,システムの重要性が高まってきます。そのために、IT専門家の能力を積極的に活用していただきたいのです。

 

 もし、お困りの方がいらっしゃれば、私たちのネットワーク人材をご紹介します。

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