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Vol.151  儲かるOEMと、やってはいけないOEM

作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)

 コンビニのお店に行くと、チェーン店名を冠にした商品が沢山売られている。スナック菓子などでは、コーナー一角が統一ブランドで展開されておりデザインも色も価格も揃っている。
 
 その隣で、NB(ナショナルブランド)と言われる有名商品が、少し高い値段で売っていて、店頭で、味をとるか値段をとるか?迷うものである。
 
 最近は、その折衷商品まで出揃っている。
 
 流通事業者は、メーカーではないので、生産設備を持っていないが、その強大な購買力を背景にメーカーに商品を自社ブランドで造らせる。
 
 その商品を供給する側を、我々はOEMメーカーと呼んでいる。
しかしながら、決して多く利益を出しているかと言えば、そうではない。むしろ厳しい。
 
 経営学の世界で、誰が翻訳したか知らないが、OEMを「相手先ブランドで商品を供給する製造元」と教えているものが圧倒的に多い。下請けとどこが違うん だろう?と単純に疑問を持ってしまう。数量も価格も相手に支配されては儲からない。販売先も限定され、ヨソに販路を拡げようとすると既納先から苦情がきて 最終的には取引停止を恐れ、新規開拓も出来なくなってしまう。
 
 食品だけでなく、機械であっても、大手自動車メーカーであっても、特定車種を商品供給されている会社もあり、あらゆる業種でOEMは普及している。
 
 10月から11月にかけ、偶然にもOEM関連の会社を4社訪問する機会を得た。3社は高収益(特に一社は、超がつくほど)残り1社は、かなり厳しい決算を余儀なくされていて、今、この状況から脱出するために、さまざまな手を打っている。
 
 その違いを考えてみると、大きく一点の経営の違いが浮かび上がってくる。OEM(Original Equipment Manufacture)が、もともとの語句であり、最初のオリジナル、つまり、我社独自の、次にエクイップメントには、準備、 装備、設置、さらに、知識、技能の意味がある。
 
 どこにも「相手先のブランド~」の意味はなく、もし、納品先のために相手のブランドで納めても、自社独自の知識や設備、技術で、と言葉通りに理解すれば 「ウチにしかできない商品を納めるから、必要な粗利が確保でき、納め先以外の他の得意先にも販路を拡げられたり、自社ブランドでも売れる」力量をもつメー カーと解釈できる。
 
 またそう考えると、先の3社の高収益会社は、自社ブランドを持っている企業ともってはいないが、多くの企業に自社のノウハウを提供しているとこであり、見事につじつまが合う。
 
 どこでも提供できる技術や製造ノウハウでは、高い付加価値は得られない。他の一社が儲からないのは当然であり、OEMとは名ばかりである。これでは将来がない。
 
 完成品をつくる力があって、儲からないOEMをやっていれば、自社商品を作って売りに出る前に、自社の技術を磨いて、今、納めているところに新商品の提案をして、高い粗利を獲得するところから出発しないと成功しない。
 
 そうしてお金を貯め、本番に備えていかないと、販路を作ったり、マーケティングには、思った以上にお金と時間がかかる。
 
 そのためには、社長が絶対に「下請け根性」に染まらないことが第一歩だ。
 
 また逆にOEMメーカーを探す場合には、高くても本当にいい商品でお客様が評価してくれる製品を提供してくれるところを探すべきである。
 
 安い商品は一見売り易いように見えるが、量を捌かないと経営として必要粗利額が確保できない。それは基本的に大手の経営のやり方であり、中小が戦いを挑んでも勝てるものではない。
 
 3社の企業名を公表できないのが残念であるが、ぜひ同じような戦略をとっている会社をさがして、儲かる仕組みをさがしてほしい。

 

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