東京株式市場では、日経平均が6月16日に1990年以来33年ぶりに3万3,000円台を突破、米国市場では6月15日にNYダウが3万4,000ドル台、S&P500が4,425と1年2ヶ月ぶりに最高値を更新するなど、株式市場は昨年の下落から一転して上昇基調で推移している。
これは文字列を生成し、人間と同様にコミュニケーションを取ることができる生成AI「ChatGPT」の登場によるもので、「ChatGPT」は2ヶ月で世界1億人が利用する大ブームを引き起こし、GPU(画像処理半導体)のトップ企業である米エヌビディア(NVIDIA)の株価を急騰させ、5月30日には史上8社目のとなる時価総額1兆円企業を誕生させた。
また、日本のアドバンテスト(日半導体検査装置)、ソシオネクスト(カスタム半導体)、東京エレクトロン(半導体製造装置)などの半導体関連株も上昇し、6月前半の株式市場は「AIミニバブル」の様相を呈した。
マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、生成AIが世界経済に追加する価値は年内に2兆6,000億〜4兆4,000億ドルと予測され、これはイギリスのGDPに相当する。
文章や画像を作る道具として生成AIの活用はオフィスワークの労働生産性を向上させると考えられる。
■AIの進化
6月21日に行われたソフトバンクグループの定期株主総会で孫社長は、コンピュータは最初は「電子計算機」と呼ばれ「巨大な電卓」とされていたが、その後知識を記憶する「記憶マシン」、それをインターネットから探すための「検索マシン」となり、生成AIの登場で「推論(知恵)マシン」になったと発言している。
そして今、AIは新たなものを生み出す「創造マシン」へと進化しつつあり、AIが情報革命の中心となると確信しており、自らも毎日ChatGPTと対話を重ねていると言っていた。
株式市場での「AIミニバブル」は一時的な現象かもしれないが、その背後にあるAIの進化とその可能性は無視できない。
経営者はAIの現状と新たな技術動向を理解し、それが自社にどのような影響を及ぼすかを予測、その中で自社の立ち位置を見つめ直し、ビジネスモデルの再構築に挑むことが求められている。
======== DATA =========
●エヌビディア(NVIDIA)
https://www.nvidia.com/ja-jp/
●ソフトバンクグループの定期株主総会(動画)
https://www.youtube.com/watch?v=k7BZXDwwP10