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製造業

第160 号 業務改革合宿の3大実践策

柿内幸夫─社長のための現場改善

 相変わらず、週末ジョギングは続けています。走っているのは、主に自宅付近のジョギングコースです。コース内の表示には恐ろしいものがいっぱいありますが、のどかな自然の中で走るのは気持ちがいいものです。

●実際には見たことはありませんが。

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 「情報の共有化」ということで私が最近よくやっていることに、合宿があります。合宿というと、学生時代のクラブ活動とか、あるいは自動車運転免許取得での合宿経験のある方は多いと思います。しかし、会社の仕事でとなると、あまり合宿というのは聞かないかもしれませんね。

 先回のお話で、「真面目な雑談」ということから、情報の共有化を説明いたしましたが、この合宿は真面目な雑談をしっかりやる方法として、かなり有効だと思います。

 具体的にどのようなやり方をしているかを、最近合宿を行った二社の事例でご紹介いたします。両社の名前を仮にA社とB社とします。両社はこの厳しい変化の時代に、会社として堂々と生き抜くために、みんなでどのようなことをするべきかを、考えることになりました。

 そこで、A社もB社も営業と製造と技術の方々がメンバーに入る構成で、人選を行いました。参加者はそれぞれ、A社は若手中心で、B社は社長を含む役員全員でのメンバーを構成しました。

 ここで、いくつか私が大切だと思ってお願いしたことがあります。まずは雑談ができる雰囲気です。

 業務時間中で会議室だと、しょっちゅう電話がかかってくるし、場合によっては、席を外す必要が出てきて落ち着きません。これではいつもと同じです。やはり雰囲気を変えたかったのです。

 そこで、A社は仕事の終了後から始めました。B社は休みの土曜日の午後から日曜日のお昼までの時間を取りました。場所は外部の研修施設を使いました。

 それから、話の進め方のルールです。議論を始める前に、会社の現在の情報を共有化する必要があります。知らないことは議論できないからです。

 今日の状態ですと、販売の情況や経営の見通しなどを、大雑把でいいですから参加者全員が同じレベルの知識を持つような準備をします。

 三つ目は話の進め方ですが、私は、次のようなことをいつもお願いしています。前半は全員があるべき姿を好き勝手にしゃべること。これはけっこう難しいのですが、あまり現実的なところで「できる・できない」という議論にしないことです。

 例えば、売り上げの減少という事実に対して、求める答はシンプルです。売り上げの減少を止めていつもの売り上げを確保することと、一方でたとえ売り上げが落ちても利益を確保できるような改善を実行することが必要なのです。

 これらは皆さん既に苦労していることばかりですから、つい出来ない理由をそれぞれの専門家が話してしまったりするのですが、それは、今のやり方では出来ないということに過ぎません。

 せっかく、すべての会社の機能を代表する人たちがいるのですから、ここで自分のことはさておいて、人のことに対しても自由奔放におしゃべりするのです。

 例えば、売り上げの減少に対して、製造が貢献できることはないでしょうか?リードタイムを短縮して、ライバルよりも短い納期を提案できれば、競争力の強化になりませんか?

 あるいは営業の方から、あと少し早い注文情報が入れば、生産がやりやすくなってコストを下げられませんか?といったことをお互いに言い合えるといいのです。

 A社とB社の皆さんは、一通りいろいろなことをペチャペチャ(実は激論)しゃべったところで、食事にしました。ちょっと(実はちょっと以上)のアルコールも交えて、大いに楽しまれました。

 食事後は自由な時間を取ってください。いろいろな話題が出て、お互いの距離が縮まります。会社の仕事というのは、普段は完全に業務を分担して進めています。

 営業が注文をとり、技術が工程を作り、調達が部品を仕入れ、製造が生産し、物流が完成した製品をお客様に運搬し、その後代金を回収して経営のサイクルが成り立っています。

 日常の仕事においてはこれが一番いいやり方ですが、この前提を乗り越えて変革しようとするというと、けっこう部門間の壁というものが出現するものです。この見えない壁は、変革の実行においてはかなりの障害になります。

 しかし、これまでにお話したプロセスによって、この壁が少しずつ取れていくのです。この続きは次回にお伝えします。 

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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