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<事例―27 クリスマス・イブ(B2C)>30年連続でトップ100にランキング入りしているコンテンツブランド…それがクリスマス・イブだ

酒井光雄 成功事例に学ぶ繁栄企業のブランド戦略

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 ●ロングセラーブランドになれば、巨大な収益源が誕生する
 
 ブランド価値が生れるのはモノだけでなく、ホテルやレストランのようにサービスを提供する企業によって生れるサービスブランドや、ゲームや音楽といったコンテンツもブランド価値を創造できる。
 
 ブランドをつくる際の前提条件として、踏まえておくことがふたつある。ひとつはブランド価値を高めるまでにある程度時間が必要であること。ふたつ目はブランド価値が生れたら、その後どれだけその価値を維持できるかという点だ。
 
 ITの進展で企業も製品もめまぐるしく変化していく中で、時代に併せてブランド価値を「進化」させることは必要だが、変質させてはいけない。顧客よりもブランドの送り手である企業の方が飽きてしまい、せっかく育んできたブランド価値を自ら低落させてしまうことはよくある。
 
 そうした中でロングセラー化に成功し、その存在価値を時代の中で絶えず輝かせ、世代を超えて愛されるコンテンツブランドが存在する。山下達郎が歌う「クリスマス・イブ」だ。
 
 この曲は1983年6月に発売されたアルバム『Melodies』からシングルカットされたもので、1983年12月26日付の「オリコン1984年度」で44位にランクインし、その後1988年のJR東海『X’MAS EXPRESS』のCMソングに採用されたことが後押しして、発売からおよそ6年後の1989年11月20日付オリコンでTOP10入りした。
 
 1991年1月14日付オリコンでミリオンセールスを達成。そして2015年12月28日付の「オリコン2016年度」でもTOP100入りを果たし、1987年度から続いている「TOP100入り連続年数記録」を30年連続に伸ばし、1983年12月発売から現時点での累積売上枚数が189.8万枚を記録している。
 
 ●ロングセラーを目指すヒント
 
 「クリスマス・イブ」がロングセラーになった要因を分析してみると、次の4点が指摘できる。
 
 ①「クリスマス」という時期に集中化した
 日本人が生活歳時の中でも特に思い入れのあるクリスマス時期だけの曲として、毎年反復して曲が流れるように企業タイアップなどのプロモーションに取り組んだ。
 
 ②物語性をアピールした
 「クリスマスを迎える恋人たち」というテーマを、東海道新幹線のCM映像を通じて誰もが共感できる物語性に昇華させた。それ以降も他社のCMにも起用され、クリスマスの風物詩的存在になった。
 
 ③「心の痛み」を共有化した
 幸せを歌うのではなく、「心の痛み」を題材としたことで、多くの生活者の共感を呼び共有化した。
 
 ④人々の思い出の中に刻み込まれた曲になった
 生活者が多様な思い出をつくるクリスマス・イブのBGMになったことで、人々の思い出に刻まれた曲になった。
 
<クリスマス・イブの事例に学ぶこと>
 
 日本人は四季を愛で、生活歳時をことのほか楽しむ国民性を持つ。この事例を参考にすると、春の訪れを感じさせるブランドや、夏や冬に欠かせないブランド。カーネーションを凌ぐ母の日に相応しいプレゼントアイテム、お盆など帰省する際に最適なお土産などで未開拓な市場が未だに存在することがわかる。
 
 自社製品の販売に最適な時期や生活歳時を設定し、付加価値をつくる資源として活用すれば、ロングセラー化が狙えるはずだ。
 
 
 
 
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