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人事・労務

第21講 ウェルビーイング経営の最前線:住友林業とジャパネットに見る「家族ケア」への全方位支援

顧客・社員・社会から支持される「ウェルビーイング経営入門」

 今、多くの企業が「ウェルビーイング経営」への舵切りを迫られています。 ウェルビーイング経営とは、従業員の身体的・精神的な健康だけでなく、社会的な充足感や「幸福」を、経営の持続的な成長を支える重要な資本と捉える考え方です。単なる福利厚生の充実ではなく、一人ひとりが持つ力を最大限に発揮できるよう、心身ともに満たされた状態(ウェルビーイング)で働ける環境を整えることが、結果として企業の生産性や創造性の向上につながるという戦略的投資でもあります。

 しかし、現代の従業員が直面する家族事情は、従来の育児・介護休業制度ではカバーしきれないほど複雑化・多様化しています。既存の枠組みを超えて大胆な制度拡充に踏み切った2社の事例を詳しく見ていきながら、経営者が取り組むべき方向性を探ります。

 

1.住友林業:不登校や発達障害、多様化する社会課題を捉えた新制度

 住友林業は、不登校や引きこもり、発達障害のある子どもへの対応、あるいは配偶者の負傷・疾病による日常的なケアなど、社員が直面する家族事情が年々多様化している課題に着目しました。制度新設の背景には、文部科学省の調査で不登校の小中学生が過去最多となったことや、介護離職の増加といった社会課題があります。

「ファミリーケア休業制度」の具体的な対象

 この制度は、現行の育児・介護制度ではカバーしきれない「家族ケアの実態」に踏み込んでいます。

    • 子どもへの対応: 不登校・引きこもりや発達障がい児、および“きょうだい児”などの子どもと同居する社員。
    • 配偶者のケア: 負傷・疾病、身体的・精神的障がいなどによって日常的なケアを要する配偶者と同居する社員。
    • 未成年の子: 未成年の子どもと同居する社員。

柔軟な取得期間と勤務形態の設計

 勤続3年以上の社員であれば、対象家族の人数にかかわらず、通算3年間まで複数回に分けて休業を取得できます。さらに、以下の柔軟な勤務形態も用意されています。

    • 短時間勤務
    • 週休3日制
    • 所定外労働の免除

 これらは休業制度とは「別枠」で通算3年間利用可能です。同社は長期ビジョン「Mission TREEING 2030」において「働く人が活き活きできる環境づくり」を掲げており、この制度は一時的な離職を防ぎ、継続的な就業を支援する戦略的な一手となっています。

 

2.ジャパネットグループ:従業員の声から生まれた「使える制度」への拡充

 ジャパネットグループでは、急速に進む高齢化と「年間10万人の介護離職」という深刻な実態を重く受け止めています。生命保険文化センターの調査によれば、介護期間の平均は4年7ヵ月。4割以上が4年以上の長期介護を経験しており、中長期的なサポートが不可欠な実態が浮かび上がっています。

従業員の声を起点とした実効性の追求

 同社の特徴は、国の基準に合わせるだけでなく、従業員から寄せられた声や実際の利用状況を踏まえ、「従業員が実際に使える制度であること」を重視した点にあります。

    • 介護休業を通算2年に延長: 介護体制の構築や行政手続きなど、大きな負担がのしかかるタイミングで心身の負担を軽減し、じっくり環境を整えてから復職できるよう期間を延長しました。
    • 時短勤務を最大10年間利用可能に: 介護の中長期化という実態に合わせ、急性期だけでなく長く続く介護フェーズに対応。従業員のキャリア形成を継続的に支えるための思い切った期間設定です。

 人手不足が続く中、従業員の生活背景に寄り添い、長期的な働き方をサポートする姿勢を明確にすることで、人材の確保・定着を図っています。

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