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愛読者通信

必然として事業を繁栄させる方向性の決め方

「愛読者通信」著者インタビュー

決して楽観できない情勢が続くなか、いかに自社を儲かる方向へ操舵していくか。創業六十年、のべ十万社の経営者が学び、集う日本経営合理化協会の理事長として、自ら「幾代もの事業繁栄」を情熱的に指導する牟田太陽が、中小企業が必然的に繁栄していくための生存戦略の着眼点を語る。

中小企業は「非効率」が生存戦略のキーワード

「不確実性の時代」などと呼ばれていますが、元来、経営には原理原則があって、とくに現在のような環境で経営をうまくやるためには、うまくやるための原則があります。

一つは、足元の収益基盤を守っていくこと。現業で商品のラインアップを増やしたり販売網を拡げたりして増客したり、あるいはリピートを増やすこともやって、売上利益を安定的に伸ばしていく手を打つ。

そしてもう一つは、中長期的な生存戦略も考えなければいけない。私は「五本の柱をつくってください」と言っています。

新事業とか新商品とかをつくって、会社を支える収益の柱を増やしていくことです。 どうして五本を目指して欲しいのかというと、不測の危機にも負けないためです。

事業が五本もあれば、人件費をはじめ固定費はそれぞれ二〇%ずつの負担となる。一つが何かの外的要因でピンチに陥ったとしても、マイナスの範囲が二〇%以内であれば、倒産はしない。

だから、たとえ単品で創業しても、好調になれば、すかさず別の柱を作らなければならない。好調の時にこそ不調要因となる新しい柱づくりを採り入れて不調にして、その不調を今度は好調になるように、繰り返し、術を伝承していかないといけない。繰り返し、努める。事業の永続繁栄の鉄則です。

 

短期的に見たら非効率で儲からない方向に行っていると思われます。しかし、差別化できないと価格競争に巻き込まれて、中小企業は圧倒的に不利です。

この2つをやるうえでキーワードになるのが、自らの存在意義というか、「自社はいかにしてお客様に強く必要とされる存在となるか」を意識することです。

近視眼的な利益を追求するために、自社の存在意義や磨くべき大事なものを手放すと、決して、永く繁栄発展し続けられません。

 

大分県にある創業165年のフンドーキン醤油は、九州のトップブランドで生産量も九州1位を誇り、麦味噌は全国1位の生産量を誇っている。

そして、この老舗メーカーは天然杉の樽で醤油を作っています。大手はみんなステンレス製ですよ。

いまの社長の小手川さんは、私の実学の門という経営塾の塾生で、彼が言うには、二代前の社長がトップダウンで進めたそうです。昔は樽で作っていたけれど、効率を考えてフンドーキンさんでも近年はステンレスにしていたそうです。でも社長が、「やっぱり、子供の頃に口にしていた、樽で作った醤油の方が絶対に美味しいから戻そう」と。

こんな決断は、オーナー社長だからできることです。樽で作ると大量生産できないし、手間暇かかるし、技術者の持つ匠の技を発揮できる醤油・味噌のマーケットは既に成熟していて、グレードの高い商品づくりに注力することで「フンドーキンの醤油でなければダメだ」というファンを、これから全国に、のちに海外にも増やしていこうという方向性です。

やはり、「我が社は何のために創業したのか」という創業者の思想は、たくさんの人を惹きつける強烈な魅力や個性やエネルギーを持っている。

そういう「創業の原点」を守り続けるという視点に立つと、五年先、十年先の自社の儲かる方向性を見誤らないでいられます。

 

中小企業の生存戦略は「非効率」が一つの視点です。 悪いものは続かない。存在する価値のないものは、長く続いて生きた例はない。永く事業を考えたときには、決して妥協しないことです。

その時に売りやすいからと言って、買う人の心を高揚させないものをつくっても、永く人気を博すことはない。「守るべきもの」と「捨てるもの」をよくよく峻別してください。

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